日本生まれ「トランスフォーマー」米で開花の訳 興行収入累計5000億円、経済効果は1兆円超
2019年7月、ハリウッド映画の世界興行収入(チケット売上高)で、9年半ぶりに新記録が生まれた。ヒーローアクション映画のヒットシリーズ『アベンジャーズ』の最新作『アベンジャーズ/エンドゲーム』が、4月の公開から半年も待たずに全世界興行収入で27億9020万ドル(約3070億円)を超え、これまで歴代首位であった『アバター』を抜いた。
『アベンジャーズ』はアメリカディズニー傘下のマーベル・スタジオの作品である。マーベルは、もとはアメコミ(アメリカン・コミック)の出版社であった。2000年代に入ってから自社のコミック作品をハリウッドで映画化し、スーパーヒーローもので快進撃を続けている。その作品群は多彩を極め、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)と呼ばれるスーパーヒーローの架空世界を築き上げている。
X−MEN、スパイダーマン、アイアンマン、キャプテン・アメリカなど、マーベルのスーパーヒーローは、映画だけでなくキャラクター商品やゲームも含め、世界のエンターテインメント業界を席巻している。そのマーベルは2009年に買収され、ディズニーの傘下となっている。
「アベンジャーズ」4作品の興行収入の合計は?
2019年までにシリーズ化された『アベンジャーズ』4作品の興行収入は、累計で約8500億円。映画館のチケット売り上げだけの数字である。ここから先のDVD化やネット配信、玩具やゲームの2次利用収入は、ここに含まれていない。これらを勘案したトータルの経済効果がトランスフォーマーの1兆円をはるかに凌ぐことは間違いない。
ちなみに、『アベンジャーズ』の最新作1本の興行収入約3070億円という数字を、日本の上場企業の2018年度売上高ランキングで見てみると、年間売り上げが3000億円を超えた企業は、3500を超える全上場企業のうち427社。3000億円の周辺には、例えば化粧品製造・販売のコーセーやテレビ朝日ホールディングスなど、有力企業が名を連ねている。異業種との比較ではあるが、コンテンツの持つ経済的なインパクトを感じることはできるだろう。
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