日本生まれ「トランスフォーマー」米で開花の訳 興行収入累計5000億円、経済効果は1兆円超
トランスフォーマーのアクション・フィギュアとしてのオリジナルは確かに日本であるが、これを世界的な大ヒットコンテンツに育てたのはハズブロだといっても過言ではない。
続いての映画では、オリジナルデザインにタカラトミーも参加して、製作はドリームワークスとハズブロ、配給はハリウッド・メジャースタジオのパラマウント。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ氏で監督はマイケル・ベイ氏……錚々たる布陣だ。
1兆円は、これらのチームによる「トランスフォーマー」という一コンテンツが生み出した数字である。100億円の売り上げを誇る優良中堅企業が100年かけて作る数字だ。勝者は玩具メーカーのハズブロだった。
ハズブロは2007年以前、年間売り上げが30億ドル(約3300億円)近辺で横ばいであったものが、『トランスフォーマー』の大ヒットで、2007年には売り上げが38億ドル(約4180億円)となり、900億円近く売り上げを嵩上げすることに成功した。
映画はシリーズ化され、その後も続編の公開とともに、トランスフォーマー効果は持続的に売り上げに寄与する。勢いに乗ったハズブロは、2016年、ついに年間売り上げが50億ドル(約5500億円)を超え、続く2017年には52億ドルを記録、アメリカ玩具業界で不動の売り上げ1位だったマテルを抜いて首位に躍り出た。
トランスフォーマーは、誰よりも、ハズブロにとっての「ヒーロー」である。
小売り業界の変化の余波
余談であるが、2018年のハズブロの売上高が、前年比で12%落ち込んだのは、2017年のアメリカ・トイザラスの倒産により、最大の小売りネットワークが消滅したことが主な原因である。
トイザラスの倒産やアマゾンの台頭に代表されるアメリカの流通構造の変化は、コンテンツ・ビジネス、とくに「リアル」のコンテンツ・ビジネスに大きな影響を与えている。
アマゾンの脅威は、利便性だけの問題ではない。購入履歴や登録情報による顧客データの蓄積と分析にある。コンテンツは日常品と異なり、顧客の選考による偏りが最も大きい分野なのである。
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