トーク番組から「ワクワク感」が消えた納得理由 「炎上」が及ぼす芸能タレントへの深刻な悪影響
そこで筆者は、トーク番組を好む視聴者の属性を分析した。大まかに3つのタイプに類別されることが判った。
②何か参考になることが聞けるかもしれないし、日々抱いている疑問が解決されるかもしれないという「生活必需の実用型」
③この人が大好き。愛している。この人の言うことならなんでも信じるという「すべて受け入れの信者型」
まず言えるのは、①が大多数で、次いで②、③の順になることである。しかし、近年著しく減少しているのは②であり、それは加速傾向にある。理由はいくつか考えられるが、視聴者の多くがスマートフォンを手にしたことと無関係ではないだろう。もちろん個人差はあるが、スマホを駆使すれば大抵の疑問はすぐに解決するし、SNSで不特定多数のユーザーに問いかければ、何かしらの回答が返って来る。そのうえ、選択肢まで設けてくれる。こんなに便利なことはない。タレントの知識に頼る必要がなくなるのは必然かもしれない。
「知識」より「人気」が優先される
とすると、①と③のタイプが残ることになる。賢明なる読者諸氏はお気付きだろうが、この2つの親和性は低くない。①に属する人が③に移ることも珍しくないし、①と③の両方に属する視聴者も少なくない。それどころか、今や①と③は合体しつつある。
トーク番組の数字の高低はとどのつまり、出演するタレント人気に左右される傾向が一層強まったと見ていい。前述の「グッとラック!」におけるフワちゃんの抜擢はその一例であろう。
同時に、これまでは居並ぶ論客の発言の優位性や特異性、当意即妙さで成立していたトーク番組に、近年アイドル系のタレントが多くキャスティングされるようになったのはこのためである。ドキュメンタリー要素とは真逆の方向性と言っていい。
しかし、人気先行型アイドルの彼らに、多くの国民を唸らせるだけの知識と納得のポテンシャルがあるのかどうか。あまつさえ、ここに前述の炎上をおそれる要素が加わるにもかかわらずである。
かくして、トーク番組が「普通の番組」に成り下がる構図が出来上がる。
加えて、作り手側の意識の変化も見逃せない。筆者は生身の感情も含めてそれと接してきた。
そもそも、トーク番組における主題(テーマ)を選ぶのは主にディレクターと構成作家の手による。場合によってはプロデューサーも、時には広告代理店の社員が加わることもある。その条件はともかく選ぶ基準は大まかに次の3点となる。
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