高学歴親が子どもを追い詰める 理論攻めで子どもの逃げ場なし

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■ゆり綜合法律事務所・川村百合弁護士に聞く
「表出する高学歴親の虐待 子どもの人格を尊重して」
 高学歴の親でも、子育てに行き詰まった末に親子が孤立化し事態が悪化すれば、児童虐待に結びつく場合も少なくない。それを防ぐにはどうすればいいのか。社会福祉法人カリヨン子どもセンター理事を務め、多くの児童虐待の家庭をサポートしている弁護士の川村百合さんに話を聞いた。
 *  *  *
 2012年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は6万6807件。児童虐待防止法が成立した00年度から4倍増ですが、虐待そのものが極端に増えたわけではなく、住民の理解や警察などとの連携が進んだ結果だと言われています。
 現場の実感として高学歴の親による虐待が表出するようになったと感じます。児童虐待は貧困層でしか起こらないと思われがちですが、ここ10年くらいはホワイトカラー層にかなり発見されるようになった印象です。つきっきりで勉強を教え、うまくいかないと殴る。身体的な虐待がなくとも言葉の暴力などの心理的抑圧を与える。親自身が同じように育てられたケースも少なくなく、多くは虐待という認識がありません。自覚がないからやめられないのです。
 私たちは子どもを一人の人間として尊重し、大人と同じ独立した人格を持つ「人権・権利の主体」としてとらえなくてはいけません。虐待かどうかを自己診断するのは危険ですが、子育てがうまくいかないと感じたら、自問自答してみてください。
 「子どもの人生は子どものもの。自分の思い通りにならなくてもいいのだと、私は心の底から思えるだろうか?」と。
 もしくは、ママ友など周囲のほうが子育てのありようを冷静に見られるもの。互いにアドバイスしあえる関係を築くこともとても有効です。

(ライター:島沢優子)

※AERA 2014年6月16日号

 

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