高学歴親が子どもを追い詰める

理論攻めで子どもの逃げ場なし

夫に愚痴ると「一貫校にしたら附属大に行きたがるぞって念押ししたら、ママは『それでもいい、人生学歴じゃないよ』って言ったよな」と言われ、余計へこんだ。

ヤヨイさんのように学歴信仰にとらわれると、子育ては苦しくなる一方だ。

わが子に寄り添えない

「どこからを高学歴と呼ぶかはともかく、大卒の親の子育ては難しい」と話すのは、「子育て科学アクシス」を主宰する小児心理医の成田奈緒子さん(文教大学教育学部特別支援教育専修教授)。小児心理外来で長年親子の悩みを聞いてきたが、患者の多くが高学歴親の家庭だ。

自分ができたことはわが子もできるという根拠のない思い込みをもち、子が別の人格であることを認識できない。自分のメンツを繕うことに執心するあまり、わが子に寄り添えていないケースが目立つ。

「高学歴は弁が立つ人が多いため自分のしゃべる時間がつい長くなり、子の意見を聞いていません。子どもの自発性、積極性が強化されづらい。そこが鍛えられない彼らは自発的に動かないので、親はさらに焦る。悪循環なのです」(成田さん)

都内在住で40代のハルミさんの悩みは、子育てではなく別れた夫だ。医師の元夫(50代)は、勉強が苦手な中学3年の次男の実情を受け止められない。成績表は2と3が半分ずつで模試の偏差値40台の息子に、偏差値65の高校へ行けと言う。

「せめてM大の附属校へ行け。授業を真面目に聞いていれば、ある程度の成績が取れるはずだ。いい高校に行って一流大学に入らなくては就職できないぞ」

ちぐはぐな説教をする元夫はK大医学部卒。附属中学時代から医者を目指し、ひたすら勉強だけをやり続け医者になった。

「彼は自分ができるから、息子もできると思い込んでいる。というか、世間が狭いので自分と同程度の人しか知らない。誰でも勉強すればできるようになると。そのうえ学業成績以外の価値観でわが子を見られない。次男はやさしく気が利いて友達も多いのに」(ハルミさん)

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