個別会社の離職率はどうなっているのか、『就職四季報2022年版』(総合版)では、3年後離職率を掲載しているが、今回離職率の低い会社すなわち定着率の高い会社を集計した。そこから年収の高い会社を抽出し、給料が高く新卒が辞めない会社ランキングとして紹介したい。ランキングを作成するにあたり、2017年の入社人数が10人以上で、かつ平均年収800万円以上の会社を対象とした。なおランキングは、定着率、年収の順にランキングしている。
ランキングでは、定着率100%の会社は25社。昨年度に比べ3社増加した。栗田工業は総合水処理の最大手企業で、半導体や液晶工場で使用する超純水を販売する事業もある。東亞合成は、カセイソーダなど化学品メーカーで、接着剤「アロンアルファ」の製造、販売も手がける。アンリツは、1895年創業の通信計測器メーカー。無線基地局建設・保守用計測器はトップ企業だ。
2年連続定着率100%の会社は7社
2年連続定着率100%の会社は、7社(NTT都市開発、サカタインクス、三井不動産、三菱地所、朝日放送テレビ、東京建物、日鉄興和不動産)に上っている。
ランキングに掲載した202社を業種別で確認すると、化学(1位三菱ガス化学、同・東亞合成、同・関西ペイント、同・サカタインクス、28位宇部興産ほか)、建設業(1位日鉄エンジニアリング、43位三井住友建設、46位竹中工務店、59位大林組、66位鹿島ほか)が各20社、商社・卸売業19社(1位日本紙パルプ商事、同・明和産業、同・三谷商事、53位伊藤忠エネクス、77位住友商事ほか)と続く。
2019年に発表したランキングでもこの3業種がトップ3を占めている。
ランキングを見る際には、入社人数にも注意してほしい。2017年に1056人が入社した151位の日本製鉄は離職者が1人で0.1%に満たない変動幅だが、10人入社の178位タカラトミー、同・トーア再保険、同・JECCは離職者が1人で10%変動する。複数年の離職率の傾向を確認してほしい。
業界により業績への新型コロナの影響は大きく、採用中止を決めた会社も出てきた。就活生にとって、会社研究は例年以上に重要なものとなるだろう。
また、対面型の説明会は規模を縮小して実施していることもあり、会社は採用ページを充実させる方向にある。動画による配信をはじめ、働き方や福利厚生などの制度も公開しているので、就活生が1社あたりに費やすリサーチ時間は増加する。そのため就活生はインターネットでは自分の知っている会社しか調べない傾向もある。
しかし、このランキングを見ただけでも知らない会社が多く含まれていると思う。『就職四季報』で会社をリストアップしてから、各社の採用ページなどで効率よく情報収集してほしい。
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