映画のWeb宣伝担う「フラッグ」の素顔と挑戦 デジタルマーケを映画界に注入したパイオニア

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もう一度同じやり方でヒットを狙うこともできなかった。だが、今はデジタルのマーケティングが進むようになり、特にここ5年くらいでその重要性が高まっている。映画会社各社がヒットの要因を分析するようになったのは最近のことだという。

自分から熱心に情報を集めて、足しげく映画館に通う映画ファンに向けた宣伝は大切だ。だが1年に1本、映画館で映画を観るかどうかという人、レンタルや配信などで映画を楽しむ人など、いわゆるライトユーザーをいかにして劇場まで足を運ばせるか。映画人口の裾野を広げることも急務となっている。

「劇場についているお客さんをターゲットに宣伝を行う手法もあるが、われわれは若い子たちに向けてアピールしたい。『何も無理やり若い子を呼ばなくてもいい』と言われるが、それは映画業界に対しての僕らの誓いというか。それをやり続けないといけない。やせ我慢もしつつ、やっています」(久保社長)

人材育成を目的に配給分野に参入

そしてフラッグのさらなるチャレンジは映画作品の買い付け。自社で配給するということだ。12月4日から公開されている『100日間のシンプルライフ』は、トランスフォーマーと共同配給作品だ。

トランスフォーマーと共同配給作品となる映画『100日間のシンプルライフ』© 2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH

フィンランドのドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』を基にした同作は、多くのモノに囲まれる生活を送っていた2人の男が、すべての家財道具を倉庫に預け、裸一貫、所持品ゼロの状態から、1日1つずつ必要なモノを取り戻し100日間生活する、という生活にチャレンジするさまを描き出したドラマ。男たちは勝負を通じて、物やデジタルに依存している生活に気づき、本当に大切なものを見つけ出すというストーリーだ。

同作の配給業務に参加した理由としては、社内のスタッフに、宣伝だけでなく、映画ビジネス全体を担えるような人材を育成したいという思いがあったという。その背景には、洋画の配給会社を中心に、映画の宣伝プランを統括・指揮する「宣伝プロデューサー」のアウトソーシング化、という流れが増えていることも挙げられる。

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