中ロの天然ガス合意、日本への影響は?

JOGMECの本村真澄・主席研究員に聞く

――ウクライナ危機との関連性をどうとらえるか。

もし今、ロシアが中国に対して大幅に妥協して、かろうじて孤立化を免れたような印象になると、逆にG7諸国の経済制裁の効果を認め、ロシアの弱みを世界に知らせることになる。だから、そうならないような演出を試みたのではないか。中国と徹夜で交渉し、翌朝4時近くに合意に至った経緯を見ても、安易な妥結を避けようとしたと思われる。中国、ロシアお互いがウインウインになることが重要だったのだろう。

本格的に進む東シベリア開発

――ロシアにとって今回の合意がもたらす最大の意義は何か。

ロシアが望んでいた東シベリア開発が本格的に進む。パイプラインなどの大規模投資が必要な天然ガス開発は、プロジェクト全体の企画が成り立つことが前提となるが、今回これがまとまったことは大きい。ロシアの石油・ガス開発の歴史において、大きな階段を一つ上ったといえる。雇用創出効果も大きく、人の定住も進む。

中国へ輸出されるガスは東シベリアのチャヤンダ・ガス田で開発されるが、想定される生産量は年間約250億立方メートル。合意したのは380億立方メートルなので、これでは足りない。その分は周辺の中小ガス田を次々に開発していくことになろう。

中国への供給量は将来的に年間600億立方メートルまで拡大する可能性がある。その場合、年間生産量約300億立方メートルのコビクタ・ガス田の開発が加わることになる。

――中国にとっての意義は。

今回合意されたガスの供給は中国の東北3省に対して行われる。中国東北部はこれまでガスの供給が十分になく、暖房や発電用の燃料を石炭に依存していた。天然ガスに置換できれば、大気汚染などの問題も軽減できる。

資源の供給量が増え、日本にも好影響及ぼす

――日本にとってはどんな意味合いを持つと考えられるか。

今回の合意により東シベリアの開発が進めば、資源の供給量は増える。パイが大きくなって、熾烈な資源競争は緩和に向かうと前向きに考えていいだろう。資源の供給国は常に競争状態に置かれており、市場を確保しておくことが重要だ。中国向けを増やして他の国への供給を止めるということは考えられない。

パイプラインガスが増えることで、天然ガス全体の価格を下げる効果も想定される。中国への輸出開始は18~19年だが、20年代に向けてLNGのアジアプレミアム(アジア向け価格が割高であるという問題)に少しずつ変化が出てくるのではないか。

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