中ロの天然ガス合意、日本への影響は?

JOGMECの本村真澄・主席研究員に聞く

本村真澄(もとむら・ますみ) 1975年、東京大学理学部卒。77年、同大学院卒。石油開発公団入団。90年、石油公団中国室主査。98年、ロシア中央アジア室長。2004年、JOGMEC調査部。14年、主席研究員、現在に至る。工学博士。「日本はロシアのエネルギーをどう使うか」(13年)など著書多数

2006年3月21日にプーチン大統領は北京を訪問。中国への天然ガス供給で基本合意した。東シベリアから年間380億立方メートル、西シベリアから同300億立方メートル、計680億立方メートルという大規模な供給だ。中国はこの年、トルクメニスタンとの間でも同300億立方メートルのガス供給を受けることで合意。こちらは2009年12月から新疆ウイグル自治区を通って中国への供給が始まっている。

一方、ロシアと中国は価格面で双方の要求に隔たりが大きく、最終的な妥結に至ることができずにいた。ロシアとしては、稼ぎ頭は石油であって、ESPOパイプラインのほうがより重要。ガスについてはじっくり取り組もうという姿勢だった。昨年秋、合意の噂が流れたが、やはり価格で折り合いはつかなかった。

今回、合意に至った背景にはいろいろな説がある。国際的に孤立したロシアが中国に泣きついて、大幅に譲歩してガスを買ってもらったとの見方もある。

だが、ロシアの有力紙の推定では、合意した価格は1000立方メートル当たり387ドル。100万BTU(英国熱量単位)当たりでは10.75ドルとなり、ロシアの欧州向け価格とほぼ同水準。決して安いとはいえず、ロシアとして経済性は確保している。(ダニエル・ヤーギン氏が副会長を務める米エネルギー情報会社の)IHSも、「最終合意の価格は、中国が望んだものよりも、ロシアが望んだレベルに近い」と分析している。

もともと中国は、プロジェクトが成り立たないようなレベルで提示していたと見られる。それからすると、今回は中国側の譲歩が大きいと考えられる。中国としても、国内の大気汚染が深刻で、そろそろ妥協する時期と考えたのではないか。

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