石油資源開発、「水圧破砕シェール」試験生産へ 年内にも日量約100キロリットルを想定
石油資源開発は5月22日、秋田県において日本初となる水平掘削とフラクチャリング(水圧破砕)によるシェールオイル生産の実証試験を開始する。
水平掘削とフラクチャリングは、2000年代に入って米国におけるシェールガス・シェールオイル大増産を可能にした革新的掘削技術だ。その技術が日本企業によって、国内に存在する頁岩(シェール)層で実際に試される。
予定通り進めば、年内にも試験生産が始まる。会社側は当初生産量を日量100キロリットル程度(金額では日商600万円強、年換算で20億円強)と見込む。継続して生産が確認されれば、2015年度から商業生産へ移行する予定だ。
女川タイト層へ水平掘削
実証試験が行われるのは、秋田県男鹿市にある同社の福米沢(ふくめざわ)油田。ここを含む秋田県一帯には「女川(おんながわ)タイト層」とよばれるシェールオイルの地層が分布している。秋田県全体のシェールオイルの埋蔵量は約1億バレル(1590万キロリットル)に上るとの専門家推定もある。国内石油消費量の1カ月分にも満たないのだが、石油のほとんどを輸入に頼る日本にとっては貴重な資源ではある。会社側は、今回の実証試験が女川層のシェールオイル開発に向けたノウハウ習得に寄与することに期待を寄せる。
同社はすでに2012年10月から、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田で、既存坑井を用いたシェールオイルの実証試験(酸処理試験)を行い、今年4月から日量35キロリットルの商業生産を開始している。売上高にすると年間数億円。生産には既存設備(垂直坑井)を用いているため、すでに当初コストは回収しており、利益率は5割以上に上る。
鮎川油ガス田の試験を通じて女川層の潜在性を確認した同社は、今度は福米沢油田において北米のシェール開発で先行発展してきた水平掘削と多段フラクチャリングという技術の実証試験に取り掛かる。この技術を使うことで生産性の飛躍的向上が期待できる。生産が軌道に乗れば、福米沢油田の既存設備を利用できるメリットもある。
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