僕が「ヒット曲」と言われるとモヤモヤする理由

それは「ヒット」なのか「ホームラン」なのか

「ヒット曲」とよく言いますが、その言葉に感じる思いとは?(写真:iStock/BrianAJackson)

たまにインタビューを受けているときなどに「ヒット曲の作り方ってあるんですか?」と聞かれることがある。

もちろん、それがわかっていたらこちらも苦労しない。なので、

「いやあ、結果論として過去にヒットした曲にはこういう共通点がありました、というのはあるかもしれませんが、それを踏まえて作ったからって、明日もそれがヒットするかは別問題ですから。逆に言えば、こうすれば間違いないという、教科書がないから音楽作りは楽しいんだと思いますよ……」

などと言葉を濁すことになるのだけれど、私はこのような質問に答えている最中、ずっとヒット曲の「ヒット」という言葉に内心で引っかかっている。

音楽における「ヒット」は「ホームラン」を指している

というのも、野球でいうところの「ヒット」は、あくまで単打であり、打者は一塁までしか行くことはできない。しかし、音楽における「ヒット」とは、意味的には「ホームラン」を指しているように思うのだ。

ホームランはそれ1本で1点が入る。でも、ヒットは違う。打者が塁上にランナーとなって残るだけで、点数的には0点である。もう1本ヒットが出れば、ランナーは一、二塁となり、そこからさらにもう1本ヒットが出れば、二塁にいたランナーが一生懸命に三塁を駆け抜け、捕手のタッチをかいくぐってホームにすべりこんでようやく1点が入る。

つまり、単打のヒット3本でようやくホームラン1本と同じ得点になるのである。それも、いつまでもランナーが塁上に残っていてもいいわけではない。スリーアウトとられてしまったら、ランナーはリセットされていなくなってしまうのである。

イメージしてほしい。ある程度のキャリアのあるミュージシャンは前に放ったヒットによって、塁上にランナーが数人いる状態だと言っていい。だから次も手堅いヒットでもその度にしっかり1点が入るのだ。

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