丸美屋「のりたま」が絶対王者を譲らないワケ ふりかけの超定番、風味と訴求で攻め続ける

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60周年を機に「限定品」も販売した。「増し増しのりたま」と「たまごトリオ」だ。

「増し増しのりたま」(小袋6袋入り)は、通常ののりたま(2袋)+たまのりたま(2袋)+のりのりたま(2袋)の構成。たまご増し・のり増しで、黄金配合を打ち破った商品だ。「たまご(のり)を増やしたのりたまを食べたい!」という要望に応えたという。

「たまごトリオ」(小袋8袋入り)は、同社の人気商品「たらこ」を用いた「たらこたま」と、うなぎを使った「うなたま」も各2袋入る。自社ユニットのような存在か。

「子どもたちが『今日はどれにしようか』と楽しそう」という消費者の声も寄せられた。

2007年から展開する「手のりたま」も、今年はブランドの売り上げ拡大に寄与した。60周年限定品として発売した「ひよこチップ入り手のりたま」は、容器の中に食べられる「ひよこチップ」も入っており、見つける楽しみもありそうだ。

「外出できず気が滅入る中、かわいい容器に癒やされる」「楽しいふりかけは気分転換になる」という声も聞いた。

ロングセラー商品で怖いのは「もう飽きた」と思われて消費者が離脱すること。それをさせないために、各社はさまざまな施策で新鮮味を打ち出す。今回はそうした仕掛けが、在宅時間が多くなった消費者の「琴線にふれた」といえそうだ。

5種類の表情がある「手のりたま」シリーズ、右下はひよこチップ(写真:丸美屋食品工業)

卒業生を振り向かせた“マイルドやんちゃ系”

実は、ふりかけ業界には共通の悩みがある。長年親しんでいた消費者が、商品から離れて卒業生になってしまうことだ。

「子ども時代に親しんでいた人も進学や就職で1人暮らしを始めると、ふりかけを買わなくなる傾向にあります。お母さんも、子どものお弁当をつくるのは高校時代までが多い。そうしたライフステージの変化で、一時的にふりかけから卒業する消費者が増えるのです」

女性の場合は結婚して家庭を持ち、子どもができると、再び常備するようになるという。

そうした卒業生を振り向かせる商品も投入した。「ぺパたま」だ。

定番品となった「ぺパたま」(写真:丸美屋食品工業)

「ピリッとブラックペッパーが効いた、たまご系ふりかけで、少し大人の味わいです。もともと期間限定品のミニパック(小袋詰め合わせ)として販売したのですが、『定番商品にしてほしい』とのご要望を多くいただき、今年、定番品に昇格しました」

唐辛子を使った食品には、パッケージも“やんちゃ系”が多い。代表的なヒット商品が菓子の「暴君ハバネロ」(東ハト)だ。辛さのインパクトを打ち出すねらいもあるのだろう。

だが「ぺパたま」は黒基調のパッケージながら、親しみやすいイラストでマイルドさも打ち出す。実際に食べてみると、ブラックペッパーの後味で、おかず感が増すように思えた。

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