丸美屋「のりたま」が絶対王者を譲らないワケ ふりかけの超定番、風味と訴求で攻め続ける

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下記のランキングでは上位5位までを紹介したが、トップ10には「のりたまN.P」と呼ばれる小袋(N.P=ニューパック。内容量28g)も入っている。

(外部配信先では図表や写真を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

最強2トップの「たまご」を深めた

「在宅勤務はふりかけには追い風」と先に紹介したが、向かい風もあった。

ふりかけを使うシーンには、弁当やおにぎりなどもある。その機会が減ったのだ。

コロナ禍の外出自粛でゴールデンウイークや夏休みなどの行楽需要が減り、子どもの運動会や遠足などのイベントも中止となった。職場に手づくり弁当を持参していた人も、在宅勤務では作る必要がない。それもあって、市場全体では対前年比微増となっている。

その中で「のりたま」は絶好調だった。理由は、60周年で訴求した取り組みが、消費者に受け入れられたからだ。モノづくりとコトづくりの視点で説明しよう。

モノづくりでは「たまごのおいしさアップ!」を打ち出し、パッケージでも強調した。

「のりたまは、のりとたまごを中心に、さば削り節、抹茶塩、ごまなど、さまざまなパーツでできています。2020年からは、隠し味として“ホロッとたまご顆粒”を加え、たまごの風味がよりお楽しみいただけるようになりました」

実は、長寿ブランドの品質改良はむずかしい。従来の味になじんだ消費者に受け入れてもらえるか。その風味調整で各社の担当者は悩む。開発担当時代の伊藤さんも商品リニューアル時には苦労し、「これでは既存品に勝てない」と試行錯誤を続けたという。

農学博士でもある、マーケティング担当の伊藤梓さん(筆者撮影)

「今回は消費者インタビューを重ねて、たまごのおいしさアップのニーズにたどりつき、改良をし続けました。仕上がり品の反響もよく、自信を持って市場に送り出せました」

4ページ目の写真で紹介した原材料は、アイドルグループに例えると“選抜メンバー”だ。従来のたまご系に、ホロッとたまご顆粒が加わり、さらなるチーム力アップを図った。

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