元宝塚トップが語る「威厳より共感」の後輩指導 紅ゆずるさんが体育会系の星組を導いた足跡

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──トップスターとしてはどんなことに心を砕いていましたか?

:トップスターにはいろんなタイプの方がいらっしゃって、トップとしての組の引っ張り方は人それぞれだと思います。私は意見が言える立場だからこそ、言いにくいことも組のために自分を鼓舞して伝えてきました。

私自身が下級生のときに感じたことなのですが、トップスターさんの意見は、ずっと心に残る重みがあったんです。ですから私自身がトップスターとして下級生に強く何かを伝えるべきとき、伝え方を間違えてはならないと気をつけていました。私が言った一言で、この子の気持ちが上がることもあれば、下がってしまうこともある。ひいては、ずっと残ってしまうトラウマのようになってはいけないと。

星組ならではの強い「スペシャル感」

人の気持ちは人にしか動かすことが出来ないものだからノウハウを伝えるというより、自分の背中を見せることと自分の気持ちをさらけ出してぶつかっていました。舞台上の場面の量とか責任とかプレッシャーとかは当然のことで、それよりも自分の気持ちを包み隠さずに相手に伝えることがどれだけ大変なのかを思い知りましたね。

5組の中でいちばん体育会系気質なのが星組(写真:Domani編集部)

トップとして君臨するのではなく、みんながどれだけこの人についていきたと思ってもらえるようになるか。隠さなかったしカッコはつけなかったけど、意外とそれは紙一重で。「うちのトップって威厳がない人だ」と思われるかもしれない。でも、あまり自分のことを話さない下級生がわざわざ私のところに来て「こうでした」という話をしてくれるようになったりして、よかったなと思う瞬間を感じられましたね。

5組の中でいちばん体育会系気質なのが星組だと思っています。絶対に陰口を言わない。「あの子って○○やな〜」とかを裏で言わず、直接本人に「ちょっとそれ違うやん?」って言い合える絆がある。直接の指摘がすごいんですけど、指摘してくださることに感謝できるようになってくるんです。

あと、「うちの組は特別だ」という感覚がすごく強いと感じます。私は組回りも経験していなくて初舞台から星組だったから星組しか知らないのですが、私たちが初舞台のときなんて「星組の舞台に出られることがありがたいんだぞ」って雰囲気でした(笑)。おそらくほかの組では許されるであろうことも、星組では「あかん!」て。厳しい上級生がいっぱいいらっしゃる環境だったし、“星組生とはこうあるべきだ”という組訓(?)みたいなものがあってとてもスペシャル感が強い。

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