元宝塚トップが語る「威厳より共感」の後輩指導 紅ゆずるさんが体育会系の星組を導いた足跡

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挨拶はいちばん大きな声でする。上級生を重んじる。気持ちを口に出すことって勇気がいるんですよ。相手からも疎ましく思われたりもするでしょうし。でもそれが明日わかってもらえなくても、数年後に「言ってもらってよかったな」というときが必ずくると思っています。自己犠牲を強いても相手もことを思うのが星組のよさ。私は星組のファンだったから、組配属の日には星柄のスカーフと靴下を願掛けに身に付けて行って、めでたく星組になりました(笑)。

プロ根性でやり遂げたお披露目公演

──礼真琴さんに代替わりした新生星組のお披露目公演は、いろいろ大変な状況の中で最後までやり遂げられました。紅さんが思うところはありますか?

:(トップスターの)在任期限があるからこそ、お披露目公演とサヨナラ公演は特別なんですね。それが途中で止まり、再開と中止が何度かあって、尋常ではない状況下でやり遂げたプロ根性。東京公演は半分の人数の出演者で。ラインダンスも人数が少ないのに「え? すごく人数多いでしょ」という顔で立派にやっている姿とかうれしかったですね。

あれは絶対に、「1人が10〜20人くらいの気持ちでやろう」って言ってるんだろうなって。ドヤ顔でハッタリを効かせる、まさに中身の濃いハッタリだった。だからすごく感動したんです。

コミュニケーションを密にする。言いたいことや疑問点があったら影で言わずに直接本人に伝える。簡単そうなことですが、感情が入るとなかなか難しいのが人間……。これはタカラヅカという特別な世界だけでなく、私たち一般社会でも参考になるルールだなと思いました。相手役の綺咲さんのことや星組のことを話す紅さんは、一定のテンションなのですが、特別に思われていることが伝わってきて関係の強さがうかがえました。そしてお話の面白さは相変わらず! ところどころで愉快な例えを織り交ぜつつ、真摯に語ってくださいました。
 

撮影/岡本 俊(まきうらオフィス)
 ヘア&メーク/黒田啓蔵(Iris) 文/淡路裕子

紅ゆずる(くれないゆずる)
8月17日生まれ、大阪府出身。2002年に88期生として宝塚歌劇団に入団。星組大劇場公演『プラハの春/LUCKY STAR!』で初舞台を踏み、星組に配属。2008年星組大劇場公演『THE SCARLET PIMPERNEL』で新人公演最終学年で初主演。2011年星組『メイちゃんの執事』でバウホール公演と東上公演初主演。2016年に星組トップスターに就任。翌年、自身の新人公演主演の再演となる星組『THE SCARLET PIMPERNEL』で大劇場でのお披露目公演を果たす。2018年8月 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』を台湾にて公演。2019年星組大劇場公演『GOD OF STARS-食聖-/Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』にて宝塚歌劇団を退団。退団後はコンサートやテレビドラマへ出演。2021年は4月に『アンタッチャブル・ビューティー〜浪花探偵狂騒曲〜』、6月に『熱海五郎一座 Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー〜日米爆笑保障条約〜』、8月に『エニシング・ゴーズ』と立て続けに舞台出演が決まっている。
▶︎公式サイト
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仕事をする女。そして母。ふたつの顔を持つ女性のためのファッション誌です。

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