菅首相、迷走するGoTo事業停止の重すぎる代償

事実上の「政策失敗宣言」、問われる首相の器

12月14日、新型コロナウイルス対策について記者団の質問に答える菅義偉首相(左、写真:時事)

菅義偉首相がかたくなに推し進めてきた観光支援事業「Go Toトラベル」が12月14日、全国一斉の一時停止に追い込まれた。

菅首相は、持論である「コロナ感染防止と経済活性化の両立」にいったん白旗を掲げた格好だ。その背景には自らの「ガースー発言」大炎上をきっかけとした支持率急落があるとみられる。

メディアの最新の世論調査では、Go Toトラベルの停止を求める声が圧倒的多数で、自民党内からも「このままでは政権へのダメージが大きすぎる」(幹部)という不安と不満が噴出している。

菅首相の指導力低下は不可避に

菅首相自身が官房長官時代から主導してきたGo To事業の方針大転換により、首相としての指導力低下は避けられない。野党側は「菅政権による人災」(共産党幹部)と厳しく批判しており、今後の展開次第では「トップリーダーとしての器が問われる事態」(自民長老)ともなりかねない。

政府は14日に開催した新型コロナウイルス感染症対策本部で、7月下旬以降、全国規模で実施してきたGo Toトラベル事業を、12月28日から2021年1月11日まで全国で一斉に停止することを決定した。12月27日までは、札幌、大阪両市に加えて東京都、名古屋市を目的地とする旅行が事業対象から除外される。事業を担当する国土交通省や観光業界は混乱を極めている。

菅首相は14日の対策本部で、「年末年始にかけて、これ以上の感染拡大を食い止め、医療機関などの負担を軽減し、(国民の)皆さんが落ち着いた年明けを迎えることができるよう、最大限の対策を講じることにする」と思い詰めたような表情で語った。

菅首相はこれまで一貫して「Go Toで感染が拡大したというエビデンス(証拠)はない」と主張してきただけに、「事実上、Go To政策運営の失敗を認めた格好」(閣僚経験者)だ。自民党内では「まさに泥縄。決断が遅すぎた」(同)との批判が相次ぎ、野党側は「Go Toトラベルによる感染拡大を政府が認めた」(立憲民主党幹部)と攻勢をかける。

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