「GoTo全国停止」の衝撃、冬の観光業界に二重苦 菅首相発表、シーズンオフの需要に下振れ懸念

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7月のキャンペーン当初は「東京外し」で利用客、ホテルともに困惑も広がったものの、10月に東京が対象に加わるとムードは一変。「旅行に行ってもいいんだ」と利用者が大幅に増加し、11月までに4000万人超が利用する一大ブームになった。

しかし、11月下旬にはコロナ感染が拡大している大阪市と札幌市の一時除外が決定するなど、その勢いにも陰りが見えつつあった。今回の全国停止は「12月の予約のキャンセルが出始めている」と業界が警戒していた矢先の出来事だった。

旅行会社も国内旅行に注力していたが…

ホテル業界と同様に、旅行会社も先の見えない状況に追い込まれる。業界大手のエイチ・アイ・エスは主力である海外旅行の復活が見えない中、国内旅行を成長領域として取り込む方針を明らかにしている。

そのほかの大手旅行会社も、ネット専業の旅行会社も国内の需要取り込みを進めており、その原動力となるのがGoToトラベルだったわけだ。 

今後懸念されるのは急速な観光マインドの後退だ。利用者は「第2波」が到来した7月頃のように、日々の感染の動向を見つつ、より慎重に旅行を計画することになるだろう。1月11日にGoToが再開されても、旅行者数が大幅に減少するのではないだろうか。年始から春休み頃まで、業界は基本的にオフシーズンとなるため、厳しい状況に追い込まれることになる。

35%もの割引があったからこそ、多くの利用者がGoToトラベルを活用して旅行を楽しんだ。強烈な割引が消え去り、コロナの感染リスクが高まる中で、需要を喚起する術はあるのか。業界は再び正念場を迎えることになる。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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