「SDGsで危機は脱せない」"緑の資本主義"の欠陥 失敗したらやり直せない地点に近づいている
SDGsでは現在の危機に対処できない
中島:最近、資本主義を批判しているように見えて、実は資本主義を後押ししている「まやかしの思想」が気になっています。
その典型がSDGs(持続可能な開発目標)です。最近では政治家や財界人、学者までSDGsのバッジをつけ、あたかも自分たちが環境に配慮しているかのようなフリをしていますが、あの程度の取り組みでは現在の危機に対処することはできません。
資本主義はつねにフロンティアを求め、外部から収奪することによって成り立つシステムですから、資本主義の拡大を求める限り、自然環境などの外部に負荷がかかることになります。
斎藤:『人新世の「資本論」』は、「SDGsは大衆のアヘンである」の一文で始まりますが、まさにその点を指摘したかったのです。
国連や世界銀行、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)までSDGsや「持続可能な開発」を掲げていますが、彼らは経済成長を続けるためにSDGsをうたっているだけです。
確かに気候危機の時代には、太陽光パネルや電気自動車、バイオマス・エネルギーの開発など、既存の社会インフラをまるごと転換するような大型投資が必要になります。それはまったくその通りです。しかし、経済成長の実現と二酸化炭素排出量の削減の二兎を同時に追うことはできないと科学者たちは警告しています。そんな都合の良い話はないのです。
中島:ええ。