「SDGsで危機は脱せない」"緑の資本主義"の欠陥 失敗したらやり直せない地点に近づいている

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大阪市立大学准教授の斎藤幸平氏(左)と東京工業大学教授の中島岳志氏
「経済成長の実現と二酸化炭素排出量の削減の二兎を同時に追えるというような、都合の良い話はない」。人新世の「資本論」を上梓した経済思想家・斎藤幸平氏は、そう指摘します。各国で推進されているSDGs(持続可能な開発目標)も望ましいもののようでいて、利潤第一の資本主義の論理によって骨抜きにされ、タイムロスにつながるリスクが高いと言うのです。政治学者・中島岳志氏との対談の後編は、どうすれば今のシステムを変えられるのか、その方策についてお届けする。
前編:過去の賢人に学ぶ「成長追わない社会」の作り方

SDGsでは現在の危機に対処できない

中島:最近、資本主義を批判しているように見えて、実は資本主義を後押ししている「まやかしの思想」が気になっています。

その典型がSDGs(持続可能な開発目標)です。最近では政治家や財界人、学者までSDGsのバッジをつけ、あたかも自分たちが環境に配慮しているかのようなフリをしていますが、あの程度の取り組みでは現在の危機に対処することはできません。

資本主義はつねにフロンティアを求め、外部から収奪することによって成り立つシステムですから、資本主義の拡大を求める限り、自然環境などの外部に負荷がかかることになります。

斎藤:『人新世の「資本論」』は、「SDGsは大衆のアヘンである」の一文で始まりますが、まさにその点を指摘したかったのです。

国連や世界銀行、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)までSDGsや「持続可能な開発」を掲げていますが、彼らは経済成長を続けるためにSDGsをうたっているだけです。

確かに気候危機の時代には、太陽光パネルや電気自動車、バイオマス・エネルギーの開発など、既存の社会インフラをまるごと転換するような大型投資が必要になります。それはまったくその通りです。しかし、経済成長の実現と二酸化炭素排出量の削減の二兎を同時に追うことはできないと科学者たちは警告しています。そんな都合の良い話はないのです。

中島:ええ。

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