新たな起業家「ディーパー」は地方の救世主か!? 地域を想い人間関係を重視する第4の経済主体

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齊藤:ディーパーたちの収益そのものを見ると、正直なところ、やっと食べていけるという状況です。地域経済におけるインパクトも小さく、まさに「ちっぽけな起業家」です。

しかし、1人ではインパクトを持ちえなくとも、地域ネットワークとして相互につながるとき、次々とプロジェクトを生み出し、地域に躍動力を生み出し続ける原動力となります。さらには、そうしたネットワークと文化が若い世代を惹きつけるという磁力を発生させます。

地域には4つの経済主体があります。既存の自営業や中小企業、全国区の大企業やその工場・支店、ベンチャー、そしてディーパーです。自営業や中小企業は「自己維持の原理」で動き、大企業は「利潤最大化の原理」で動き、ベンチャーは「成長とキャピタル・ゲインの原理」で動き、ディーパーは「地域の魅力を耕し、自分らしく生きる原理」によって動きます。

地方創生にはディーパーが必要

地方創生を目指すとき、4つの経済主体への支援や誘致を考えなければなりませんが、今では大企業の誘致による雇用創出は難しく、かと言って既存の自営業や中小企業に寄り添うだけでは不十分です。地域の魅力を引き出し、活性化させるためには、ベンチャーとディーパーに注目する必要があると思います。

イノベーション・プログラムでは、これら4つの経済主体のうちベンチャーとディーパーのスタートアップを対象としています。とくにディーパーについては、地域の人々の思いがこもった挑戦を支援しつつ、ディーパー同士をつないでさらなる新しいプロジェクトが生まれてくるような流れをつくり出したいですね。

地域の魅力を耕し、自分の生き方を耕すようなディーパーたちを新しい経済主体として認知し、彼らのモチベーションを地方創生につなげていくことが、これからの地域戦略には必要だと信じています。

齊藤 義明 野村総合研究所 主席研究員 2030年研究室長

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さいとう よしあき / Yoshiaki Saito

北海道大学卒業。1988年野村総合研究所入社、ワシントン支店長、コンサルティング本部戦略企画部長などを歴任、現在はイノベーション・プログラムの開発者として全国を飛び回る。100人以上の革新者(イノベーター)たちと親密なネットワークを持つ。著書に『日本の革新者たち』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『次世代経営者育成法』(日本経済新聞出版社)、『モチベーション企業の研究』(東洋経済新報社)など。

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仲山 進也 仲山考材株式会社 代表取締役、楽天株式会社 楽天大学学長

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なかやま しんや / Shinya Nakayama

創業期(社員20 名)の楽天に入社。楽天市場出店者の学び合いの場「楽天大学」を設立、人にフォーカスした本質的・普遍的な商売のフレームワークを伝えつつ、出店者コミュニティの醸成を手がける。20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を見続け支援しながら、消耗戦に陥らない経営、共創マーケティング、指示命令のない自律自走型の組織文化・チームづくり、長続きするコミュニティづくり、人が育ちやすい環境のつくり方、夢中で仕事を遊ぶような働き方を探求している。著書『組織にいながら、自由に働く。』『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』ほか。

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