高齢者の入浴を襲う「ヒートショック」の対策法 浴室での事故は12月と1月に多く発生している

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高齢者と同居している家族は、浴室や脱衣室の室温が寒くないか確認したり、入浴時間が長いと感じたら声をかけたりなど、手助けをすることをおススメする。日本気象協会の「ヒートショック予報」をチェックして、注意を促すというのも1つの方法だ。

他方、東京ガス都市生活研究所 の「都市生活レポート」によると、高齢者の住まいの7割が持ち家一戸建てで、そのうち半分(平成25年住宅・土地統計調査)が1980年以前に建築された、断熱性の現行基準を満たさない住宅だという。

住宅の断熱性は、浴室と脱衣室の室温にも影響する。断熱性が低いほど、浴室や脱衣室が外の気温の影響を受けて、室温が低くなると考えられる。都市生活研究所の調査では、築年数が経過している住宅ほど、浴室や脱衣室を寒いと感じている人が多い。加えて、築年数が経過している住宅ほど、浴室に暖房器具が設置されていない場合が多い(下図参照)。

出典:東京ガス都市生活研究所「都市生活レポート “暖かい”入浴のすすめ」より転載

 東京ガス都市生活研究所の調査では、浴室の室温が低いと浴槽の湯の温度を高くする傾向があるという。浴室の室温と湯温の温度差が大きいほど、ヒートショックのリスクは高まる。やはり住まいの断熱性の向上は、入浴中の事故予防の根本的な解決策となるだろう。

家全体の断熱リフォームをすることが最も効果的だが、予算的に難しいという場合は、浴室に暖房設備を設置するなど、支払える予算で可能なリフォームは何があるか検討してほしい。

断熱リフォームには、減税や補助金の優遇制度が利用できる場合がある。あらかじめ利用できる制度がないかを調べておくのがよいだろう。

まだまだある、危険な高齢者の冬の事故

高齢者にとって冬に危険なことは、入浴中だけではない。
消費者庁では、3大事故として、次の3つを挙げている。

・転倒や転落
・誤嚥等の不慮の窒息
・不慮の溺死や溺水

家庭内の転倒や転落の予防は、住まいの段差などをなくしてバリアフリーにすることが基本だ。しかし、冬は、こたつやホットカーペットを出す高齢者も多い。電源コードに足をかけたり、端の部分につまずいたりすることも多いので、注意が必要だ。

また、正月になると餅を食べる機会が増える。餅をのどに詰まらせる窒息事故も多くなるので、餅を小さく切って調理したり、食べるときには先に汁物を飲むように勧めたりして、正月を楽しく過ごすようにしたいものだ。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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