高齢者の入浴を襲う「ヒートショック」の対策法 浴室での事故は12月と1月に多く発生している
本格的な冬の訪れで気を付けたいのが、高齢者の入浴中の事故だ。消費者庁は、冬に多発する高齢者の入浴中の事故について、注意を呼びかけている。
高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は、年間に7000人程度発生している。「不慮の溺死及び溺水」のうち、家や居住施設の浴槽での死亡者数、つまり入浴中の急死者数が7割を占めており、2011年(平成23年)以降、交通事故による死亡者数を上回っている(下図参照)。(外部配信先ではグラフや図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
発生月がわかっている高齢者の入浴中の急死者数を見ると、11月から4月が多い(下図参照)。12月と1月が最も多い時期なので、特に注意が必要だ。
高齢者の入浴事故を予防するために、消費者庁では、次の6点を呼びかけている。
(2)湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴、またアルコールが抜けていない状態の入浴は控えましょう。
(5)精神安定剤、睡眠薬などの服用後の入浴は危険ですので注意しましょう。
(6)入浴する前に同居者に一声かけて、見回ってもらいましょう。
主な原因はヒートショック、同居家族の見守りも
入浴中の事故死が気温の低い冬場に急増する主な原因は「ヒートショック」だ。ヒートショックとは、温度の急激な変化が身体に与えるショックのこと。急激な寒暖差で血圧が乱高下することによって、脳出血や失神などの症状が発症しやすくなるといわれている。
特に冬の入浴時には、暖房をしていない脱衣室や浴室は室温が低く、そこで衣服を脱いで全身を露出すると、急速に体表面から体温が奪われて血管が収縮し、血圧が急激に上がる。温かい湯船につかると今度は血管が拡張して、急上昇した血圧が一気に下がり、失神を起こして浴槽で溺れて亡くなるということが起こる。
なかでも高齢者は、血圧の変動が大きくなる一方で、寒さを感じにくい傾向があり、入浴前に浴室や脱衣室を暖めることが推奨されるという。
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