ビデオ会議を「プロっぽく」変えるアプリの正体 2021年の「ビジネススキル」に欠かせない事とは

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mmhmmの開発に参加している著名プログラマーで起業家・作家としても知られる中島聡氏は、mmhmm開発とM1搭載Mac登場は、絶好のタイミングだと語る。

「M1がなんといっても素晴らしいのは、CPU、GPU、NPU(Neural Processing Unit、Neural Engineのこと)がメモリーを共有していることで、これによってエンジニアは、気兼ねなく、GPUやNPUを使ったプログラムを書けるようになります。

M1により、これまでテレビ局や映画の制作者向けの高価な機材でしか出きなかったことが、手軽にパソコンでできるようになるので、そこがmmhmmの役割だと感じています」(中島氏)

Mac向けに用意されるmmhmmアプリ。ウェブカムで映す自分と、スライドや写真、ビデオなどを画面内で合成し、Zoomなどのビデオ会議アプリに表示することができる仕組みで、円滑なプレゼンができる(筆者撮影)

mmhmmは2020年10月24日、注目されていたビデオ技術のある企業を買収した。「Memix」はリアルタイムに動画に照明や背景、エフェクトなどの効果をつけることができるアプリで、mmhmmはMemixの仕組みを取り入れ、ビデオ品質の改善に取り組んでいる。

加えて、機械学習処理を生かしてジェスチャーや手の形を認識して自動的に合成やアニメーションを作り出したりする、画面をより楽しいものにするテクニックを付加しようとしている。

すべてが「ハイブリッド」に

「ビデオ会議にこれまでなかったのは、普段の職場でみんなが気遣うようになった彩りや安らぎ、自分が気に入ったスタイルを取り入れることでした」(リービン氏)

mmhmmは現在、自由度と表現力の高いビデオプレゼンテーションの実現に加え、1つのプレゼンテーションを複数の人で操作する機能、さらにスライドごとに解説ビデオを記録できるインタラクティブレコーディングを実現している。

今後、ビデオに埋め込んだTwitterのツイートやGoogleフォームなどのウェブサイト上の情報に直接書き込めるような仕組みも実現していきたいそうだ。

リービン氏は、mmhmmが目指しているのは「ハイブリッド」なコミュニケーションとつながり作りだという。

「目の前に人がいる状態とオンラインの軸、またライブとレコーディングの軸を考えていたとき、今までは1つずつを選んでコミュニケーションを取らなければなりませんでした。mmhmmが目指すのは、こうした境界を溶かしながら、自由に行き来できる環境です」(リービン氏)

現在オンラインコミュニケーションやビデオミーティングの領域は、急拡大した需要に合わせて、急激な発展を見せている。一過性にも見えるが、リービン氏はオンラインミーティングは定着こそするが、なくなることはないと見立てている。

われわれも、ハイブリッドでコミュニケーションするスキルを身につけなければならず、mmhmmのようなツールに親しんでおく必要があるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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