YouTube時代に「子どもを読書好き」にする技術 親が主導して子どもと本の距離を縮める

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こうした点をお伝えしたところ、保護者の方や教師仲間からは本選びの参考になったとの意見が得られました。いい本との遭遇は、子どもの成長に欠かせないものです。読書をもっと子育てに活用してほしいですね。

読書で子どもに感じてほしいのは1つだけ

――基本的な質問ですが、子どもにとって読書の魅力とは何なのでしょうか?

私が以前に受け持った生徒に、読書ばかりしている子どもがいました。あるときその生徒に「どうしてそんなに本を読むの?」と聞いたことがあるのです。すると、こんな答えが返ってきました。

「だって先生、本を読むと別の世界に行けるし、普段なら経験できないことも体験できるんですよ。すごくドキドキ、ワクワク、ハラハラしませんか?」

とても素直で、子どもらしい意見だなと思う一方で、その答えのあまりの的確さに私はとても感心したのを覚えています。

「ドキドキ」「ワクワク」「ハラハラ」体験は、子どもに読書の習慣をつけてもらううえでとても重要な要素ですし、確実に子どもたちを動かします。面白い本に巡り合い、それに夢中になるのは大人も子どもも一緒です。読書は単純に楽しい――。子どもに感じてほしいのは、実はこれだけなのです。

――子どもたちには本の「楽しさ」にぜひ触れてほしいですね。

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読書には、単に「本を読む」ということ以上のメリットがあります。私がよく思うのは、本との出合いというのは、人との出会いに似ているということです。人は誰かと出会い、一緒に過ごすことで多くを学んでいきますよね。その過程では、うれしくなったり、悲しくなったりする場面もあるでしょう。さまざまな感情を経験するなかで、人は成長していくものです。

本との出合いもこれと似ています。いい本に出合うと人はさまざまな感情に揺さぶられ、内面に大きな変化を起こします。その変化は目には見えませんが、とても大切な要素であり、人の成長には欠かせません。

本とのいい出合いを数多く経験し、豊かな人生を築いていってほしい――。私のみならず、これこそがすべての親御さんの望みなのではないでしょうか。

野口 孝行 フリーランスライター/翻訳家

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のぐち たかゆき / Takayuki Noguchi

1971年、埼玉県生まれ。メーカー、商社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、2011年に独立。アメリカ・アーカンソー州立大学政治学部卒業。著書に『脱北、逃避行』(文春文庫)。訳書に『外交官の使命 元駐日アメリカ代理大使回顧録』(ジェイソン・ハイランド著・KADOKA WA)などがある。

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