YouTube時代に「子どもを読書好き」にする技術 親が主導して子どもと本の距離を縮める
だからと言って、スマホやSNSを悪者にするつもりはありません。何と言っても便利ですし、すでに生活には欠かせない存在となっています。しかし、その利便性ゆえに中毒性が高く、私たちから読書の時間を奪っているのは確かでしょうね。
小学校時代は読書の「黄金期」
――となると、子どもの読書離れはこれからも加速しそうですね。
残念ながら、親が何もしなければ、子どもたちはさらに本を読まなくなるでしょう。読書の習慣化という意味では、小学校時代はまさに「黄金期」なんです。この時期に子どもが本にどう向き合うのかによって、その後の状況が大きく変わっていきます。
今の小学生が親世代と違うところは、すでに物心ついたころからスマホやSNSが身の回りにあったという点です。
それ以前の時代に育った世代は、本に触れる機会がまだまだ多かったのではないでしょうか。その中で本の面白さを発見し、本からさまざまなメリットを受け取ってきたと思います。幼少期にそうした経験を持っている人たちは、大人になった今でも「本を読む」という行為が生活の一部になっているはずです。
幼いころの体験には計り知れない影響力があります。本の楽しさを知ることができた子どもたちは、将来、スマホにハマったとしても、必ずどこかで本に戻ってきます。幼少期の本とのふれあいは、長年にわたって効果を発揮し続けるのです。
ところが、そうした経験を一度もせずに、スマホやSNSの世界にいきなり放り込まれれば、子どもたちは読書を一切しない人生を送ることになるかもしれません。
――読書指導の研究をされているということですが、読書からは具体的にどんなメリットが得られるのでしょうか?
代表的なものを挙げてみましょう。
・語彙が豊かになる・知識が得られる・心が穏やかになる・表現力が高まる・読解力がつく・人間性を高められる・物語を楽しめる・集中力がつく・感受性が高まる
ざっと思いついただけでも、これだけ出てきます。さらに言うと、子どもの学力向上に直接的な効果を発揮するのも読書の強みでしょうね。2009年度の静岡大学による調査研究では、「読書好きな児童生徒ほど教科の学力が高い」と明確に報告されています。
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