おひとりさま「死後の手続き」を任せたその後 葬式から賃貸住宅の解約まで生前に取り決め

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葬儀、埋葬が終わり落ち着いてきたところですが、さまざまな手続きの処理がまだ残っています。ものによっては、死亡後の期限が決められている場合もありますから、お気をつけください。

  • ・健康保険の手続き、保険証の返却
  • ・年金受給停止の手続き
  • ・各種支払いの停止、解約手続き
  •  

ときどき「死亡届を提出すれば、銀行口座は凍結される」と勘違いされている方がいるのですが、死亡届はあくまで住民票や戸籍謄本から亡くなった方を除くための手続きです。役場から金融機関へ、亡くなった方の情報が伝わることはありません。

解約の手続きを断られた場合は?

おひとりさまの場合、受任者が委任者の口座がある金融機関に出向いて、亡くなったことを伝えたとき、口座が凍結されるという流れになる可能性が高いでしょう。

ただ、死後事務委任契約が、世の中にまだ浸透していないため、遺族でないことを理由に解約の手続きを断られたり、電話連絡だけでは応じてもらえず、窓口まで何度も足を運ばなければならないこともあるようです。

受任者に解約手続きの権限があることを証明するのに一番効果的なのは、死後事務委任契約書です。死後事務委任契約は口約束でも契約は成立しますが、受任者に後々いらぬ手間をかけさせないために、契約書を作成しておくことをおすすめします。

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専門家と契約した場合は契約書を作成してくれますが、友人・知人と死後事務委任契約を結ぶ場合も、一度専門家に、契約の内容に漏れがないか、逆にしなくていい内容まで組み込んでいないかなど、相談してみるといいかもしれません。

公証役場まで足を運んで公正証書にしておくこともできます。手間とお金はかかりますが、公証人が契約書を作成してくれますから、形式としては問題のない契約書が完成するはずです。

もっとも、その契約が委任者と受任者にとって最適なものになるかどうか、という観点で見ると、不十分なところがあるかもしれません。できることなら、やはり、弁護士、司法書士、行政書士などに、ご相談いただきたいところです。

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