「Go To」は史上最悪の経済政策かもしれない 気持ちは分かるが、菅政権は過ちを犯している

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だから、菅政権は一時的に大阪や北海道を目的地とするGo Toを「中止」しただけでなく、一時中止地域を広げるかどうか議論になっているときに、現状の予算枠を使い切った後もGo Toを延長することを先に決めてしまっている。これは、Go Toを止めた瞬間にGo Toをやったことがむしろトータルでマイナスであったことに皆が気づいてしまうからではないか。

第3の理由として、観光業界から見ると、旅行してほしい人は旅行せず、業界全体への効果が相対的に小さい人々しか旅行してもらえないからだ。言い方は悪いが、コロナ感染をもともとあまり気にしない、かつ相対的に所得の低い人々が喜んで旅行に出かけるいっぽうで、観光業界としては「ドル箱の富裕層」あるいは「相対的に豊かな高齢者」の旅行は、むしろ激減してしまうからだ。

よって、優良な旅館、人気のあるホテルほど、Go Toは有り難くないのだ。「お得意様」である常連客は、いつも見かけない客が押し寄せているので、こんな混んでいるときにわざわざ行きたくない。高齢者は、旅行どころか、外出するだけでも慎重におそるおそる出かけているのに、混雑している観光地に行くなんて、とんでもない。よって、業界としても有り難くないし、トータルの観光消費としても、中長期的に見れば減少することになり、マクロ経済的にも望ましくない。

なぜ「Go To」は「罪深い」のか

このように、経済的にもマイナスの政策なのに「経済的には効果があることは間違いがない」と、ほとんどすべての人が思っている。そこですでに議論がおかしくなってしまっているのだ。

しかし、実はそれ以上にGo Toが罪深いのは以下の点だ。つまり「Go Toを大歓迎する人々」と「Go Toをよく思わない人々」とに、社会を真っ二つに分けてしまうことである。

これは、世論調査にも表れている。Go Toに関する調査は賛成と反対とがほぼ半々に常に分かれている。これは、日本の世論調査としては珍しいことだ。わが国では、常に長いものに巻かれようとするのか、目先の具体的なことについては、人々の意見はどちらかというと一つの方向に傾く(傾きすぎるのが問題になることも多いが)ことが、ほとんどだ。

しかし、Go Toでは「完全に2分されている」に等しい。コロナに対する国民の見方は、分かれているわけではない。緊急事態宣言をしたほうが良いかどうか、飲食店の深夜の営業を制限するかどうか、などは、多数派の意見ははっきりしている。

これは、Go Toのせいなのだ。すなわち、Go Toが世論を二分し、人々を二つの対立する集団に分け、社会を分断しているのだ。これがGo Toの最大の問題点であり、「史上最悪の政策」である理由である。

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