遺言書では済まない「おひとりさま」死後手続き 身近に頼れる親族がいない状況でどうすべきか
超高齢社会の真っただ中にある日本。2015年に行われた国勢調査の結果では、65歳以上の人のうち、一人暮らしをしている割合は17.7%。つまり高齢者の約6人に1人、人数にして600万人近い方々が、おうちにひとりで過ごしているそうです。そして、今後ますます、いわゆる「おひとりさま」は増えることになるでしょう。
存命中のさまざまな不安に対しては、「遺言書」や「成年後見制度」を上手に利用することで対処可能ですが、とくに「おひとりさま」の場合はそれだけでは終われません。看取ってくれる家族や、亡くなった後に財産を相続する相続人や、死後の手続きをやってくれる親族がいないケースも多いからです。だからといって放置もできません。
では、たとえば遺言書にいろいろと希望を書いておき、信頼できる人に「遺言執行者」を頼んでおけば、どうにかならないでしょうか。いいえ、それでは不十分。
遺言書に財産以外のことを書いてはいけない、というわけではないのですが、書いたからといって、財産以外のことでは絶対の効力を持つものではありません。ただし、死後のさまざまなことについて、故人の意思通りにことを進めるための方法は、ちゃんとあります。
それが、「死後事務委任」を活用するやり方です。『おひとりさまの終活「死後事務委任」』著者で弁護士の國安耕太氏にうかがいました。
死後の手続き、誰がやってくれる?
人が亡くなったとき、その後にしなければならない手続きは意外に多く、雑多で、手間もかかります。もっとも、やってやれないことはありません。すでにこれまで多くのご遺族が、死後の手続きをこなしてきたのですから大丈夫。ただ、たいていの方は口を揃えて「大変だった」「面倒だった」といいます。
とくに身近に頼れる親族がいない状況で、ひとり頑張ってきた「おひとりさま」にとって、死後のことまでスムーズに済ませることは、かなりハードルの高い問題でしょう。
また、対策を講じないまま、「おひとりさま」が亡くなってしまうと、困る人が出てきます。考えてみてください。
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