ドコモ、激安料金で挑む「一人負け」からの脱却 携帯契約数は3四半期連続で純減が続く

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メインブランドとドコモが言い張るのは、武田良太総務相が11月中旬に通信各社に対してメインブランドでの値下げを強く要請し始めたためともみられる。武田総務相が記者会見で「多くの利用者が契約しているメインブランドで新たなプランがまったく発表されていない。いろいろなプランができた、あとは利用者次第、というのはあまりにも不親切ではないか」と述べていたからだ。

しかし、ドコモがもともとアハモを別ブランドとして検討していたと見て取れる点はいくつもある。例えば、プロモーション映像には「プランはたったひとつ」「ドコモの通信回線」といった文言が登場する。ドコモの新プランであるのに「たったひとつ」と表現し、わざわざ「ドコモの通信回線」を使っていることを強調している点は不自然だ。

既存のドコモユーザーがアハモに移行する場合でも、他社のユーザーと同様の乗り換え手続きが必要になったり、ドコモの利用年数がリセットされたりするなど、通常の契約変更とは異なる部分が多い。にもかかわらず、別ブランドではなく「新プラン」として打ち出すのは、既存のドコモユーザーの混乱を招きかねない。

純増契約数で大きく見劣り

また会見のプレゼンテーション資料の画像では、スマートフォンの電波強度表示の横にあるキャリア名が「ahamo」となっていたことから、ドコモの他のプランと異なるSIMカードになる可能性もある。これについて田畑智也・料金企画室長は、「SIMの扱いをどうするかは検討中」と説明する。

価格で攻めた背景には、ドコモの「一人負け」となっている現実がある。通信各社は四半期ごとに契約数を公表しているが、ドコモの通信契約数は2020年1~3月期以降、前年同期比で3四半期連続で減少した。直近の7~9月期は20.9万件減った。一方、ソフトバンクは大きく伸ばし同期間の契約数は172万件増えた。KDDIもauの減少をUQが補い、純増を維持している。

【2020年2月10日17時45分追記】初出時、ドコモの2020年7~9月の純減数が誤っていました。お詫びして訂正いたします。

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