自社の通信サービスを売るための販売網に、他社を招き入れる「奇策」に打って出たドコモ。その背景には、競争を勝ち抜くためのいくつもの思惑がある。
NTTドコモの「奇策」はMVNOの救世主となるのか。2021年秋にドコモが始めた、提携する格安スマホのプランをドコモショップで販売する新施策「エコノミーMVNO」が、業界内でひそかに注目を集めている。
維持・運営コストの大きい実店舗チャネルをほとんど持たないMVNO(仮想移動体通信事業者)にとって、全国約2300店舗のドコモショップはのどから手が出るほど欲しい販売網だ。参加事業者はこの”相乗り”の仕組みが販路拡大の起爆剤になると期待を高めている。
「足元でも契約者数が過去最多を更新し続けている」。こう話すのは、格安スマホ「OCNモバイルONE」の運営を担当する、NTTレゾナントの植本直樹パーソナルサービス事業部担当部長だ。
同じNTT系とはいえ、これまで販路はまったく別。事業上の交流もほぼなかったが、ドコモ側からエコノミーMVNOへの参加の打診を受け、2021年10月から参加している。以来、これまで同社が取り込めていなかったシニア層などの新規開拓が進んでいるという。
参加企業はテレビCMで攻勢
OCNに続き、昨年末から参加した「トーンモバイル」(フリービットの完全子会社が運営)でも同様の成果が出ている。「(エコノミーMVNOに参加して以来)契約件数の純増ペースが上向いている。トーンモバイルの指名買いでドコモショップに来店される方も増えた」(広報担当者)という。
昨今は大手キャリアの格安プラン投入などが相次ぎ、MVNO各社には大逆風が吹いている(詳細は3月22日配信記事:格安スマホ、「7年で7割減」市場の壮絶生存バトル)。フリービットの石田宏樹社長は「全国のドコモショップをテコにできれば、今後も新規契約を伸ばせそうだ」と手応えを語る。
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