契約回線数は7年で7割減する――。格安スマホについてのそんな野村総研の推計が、業界に衝撃を与えた。競争が激化する中、生き残りの道はあるか。
携帯電話料金値下げに一役買ってきた「格安スマホ」事業者が、消滅の危機に直面している。NTTドコモをはじめとする大手キャリアが「格安プラン」の提供を始めたことで、存在意義が宙に浮いてしまったからだ。
実際、足元では通信品質などに優れる大手キャリアへの顧客流出が顕著だ。そんな中、格安スマホを展開してきたMVNO(仮想移動体通信事業者)の契約回線数が「7年で7割減少する」という推計も飛び出し、業界をざわつかせている。
2021年12月にこの推計を発表したのは、国内大手シンクタンクの野村総合研究所。アンケート調査などを基に、MNO(大手キャリア)とMVNO、それぞれの市場動向について独自試算したものだ。
市場縮小を加速する2要因
MVNOとは、大手キャリアから通信回線を借り受けて格安スマホの通信サービスを提供する事業者のこと。大手キャリアがカバーしていなかった低容量・低価格帯のプランを充実させ、節約志向が強い消費者を取り込んできた。
ところが野村総研の推計によれば、MVNOの契約回線数(携帯電話端末)は2019年度にピークアウトし、2020年度末は1351万、2021年度末は958万と急減する。そして2027年度末には456万と、ピーク時の3割程度まで縮小する見立てだ。
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