「伊能忠敬の働き方」が主流になる老いなき世界 「必要とされる仕事」が激変する世界の生き方
宮本:Z世代は「物心ついたときにスマホがあった最初の世代」とよく言われますが、今後は「寿命が延びて100歳まで働けるようになった最初の世代」も登場する。その人たちが新しいカルチャーの担い手になるという可能性もありますね。
未来を自分ゴト化する
岡橋:消費に消極的になったり、何かを諦めたりするのは、「あと10年しかないし」というような感覚からかもしれません。年金でこのぐらいの生活をしていればいいやと。でもそれは、未来を「自分ゴト化」できないということでもあります。この未来を自分が創るんだ、自分がアクションすることで未来がこう変わるんだと思えるようになると行動も変わるでしょう。
佐々木:そうですね。そろそろ折り返し地点だなとか、もう終活かなというような感覚がなくなって、皆が生き抜くことに積極的な状態になれば、それが「もう少し働こうか」といった意欲にもつながるかもしれません。
そして、やはり学習し続けることですね。自分の経験や学んできたことが相対的に価値を失う時代ですから、積極的に学び直す。その学びの先生は年上だったり年下だったりということが今後は起きるでしょうし、その機会をどう生かすかが重要になるでしょう。
宮本:日本地図を作った伊能忠敬は、もともと酒屋さんで、50歳のときに地図を作りたいと考えて天文学を学び始めたそうです。しかも、そのときに弟子入りした天文学者は19歳年下。数年間勉強して、56歳で日本全国を旅して測量を始め、72歳で測量を終えています。
伊能忠敬はまるでライフスパン時代の生き方を先取りしているみたいで、すごくかっこいい。年をとっても新しいことにチャレンジし、年下に弟子入りできるような大人になりたいです。
岡橋:弟子入り先の人も、よく受け入れましたよね。世代が違い、異なる価値観を持つ人が混在する世界で、新たなことを学ぶためには、まず何かに真摯に向き合う、誰かとわかり合う、そのためには傾聴し、リスペクトする姿勢が重要だろうとも思いますね。