星野やプリンスも注目の「ワーケーション需要」 「ゴンドラ」をテレワーク用個室として貸し出し

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リゾナーレ八ヶ岳では、飛沫感染対策のアクリルカバーを施した新ノーマルビュッフェも定着した(筆者撮影)

こうした状況を踏まえ、必要になったのが個室空間である。急なオンライン会議が入る場合など、パブリックエリアのコワーキングスペースでは周囲の人の目や声が気になり集中できない。また、リゾナーレ八ヶ岳はファミリーでの利用が多く、客室に家族がいる時間帯は、客室でも落ち着いて会議に臨めない。そこで、「個室のワーキングスペースを導入することになったが、星野リゾートらしい個室のあり方を議論した結果、スキー場で実際に使われていたゴンドラを移設して再利用しようということになった」(北嶋氏)という。

このテレワークゴンドラは話題性を狙っている部分も、もちろん大きいと思うが、実際に使ってみると意外と使い勝手がいい。外観はスキー場で使っていたときのままであるが、室内には広めのデスクやソファが設置されており、Wi-Fiも良好な通信環境が確保されているなど作業環境が整えられている。また、テレビ会議用のマイク/スピーカー、テレビ会議用ライトなどの貸し出しサービスもあり、自分のパソコンさえあれば、急な会議にも対応可能だ。

テレワークゴンドラは、3台のうち2台が2時間単位の予約制(1台は空いていればいつでも使用可能)になっており、「今のところ、予約を開始した11月9日から2月中旬までに、計約50件の予約が入っている。家族と一緒であっても、1日のうちの一定時間は仕事に集中したいというお客様に好評」(リゾナーレ八ヶ岳広報)であるという。

今後、リゾート地でのテレワーク・ワーケーションを広めるうえでは、こうした仕事に集中するための個室空間をどのように確保するかが課題になると思われるが、このテレワークゴンドラは「リゾート地らしさ」があり、そのテストケースとして面白みがある。

下田市内の「乗り合いオンデマンド交通」

次に紹介するのが、②の滞在先の足回り改善に関する取り組みだ。現在、伊豆半島では、東急とJR東日本の主導により、鉄道・バス等の交通機関を、スマホを介して1つのサービスとしてつなぐ、MaaS(マース Mobility as a Service)の実証実験が行われている(サービス名は「Izuko(イズコ)」)。具体的なサービス内容としては、伊豆エリアの交通機関が2日間乗り放題になるデジタルフリーパスや、遊覧船や水族館など120以上の観光施設や観光体験の割引チケットを、スマホ経由で販売している。

このイズコのサービスの中で、ワーケーションとのからみで注目されるのが、下田市内で運行されている、ジャンボタクシーを使用した乗り合いオンデマンド交通だ。このオンデマンド交通は、バスとタクシーを組み合わせたようなサービスであり、下田の市街地を中心に17カ所の停留所が設置されている。スマホで出発地と目的地の停留所を指定して配車予約すると、画面に表示される時間内に、出発地にジャンボタクシーが到着する仕組みだ。

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