「始まった時点から、Go Toの終わりを考えていた」。そう語るのは星野リゾート「星のや軽井沢」の金子尚矢総支配人だ。
近年の軽井沢は、1~2月の春節休暇で多くの中国人客が訪れる観光地。この時期は国内観光のオフシーズンにあたるため、星のやもコロナ前までは、「10年前には考えられなかったような稼働の平準化ができるようになっていた」(金子氏)。
しかし、今年は中国人客が抜け落ち、秋冬に需要を喚起したGo Toトラベルが停止されたため、国内の予約も入りにくい。2020年1月の稼働実績は前年対比で58%と、大幅に低下している。そこで、オフシーズンならではのアピールに総力を挙げている。
住民でも知らない地元の価値を発掘
カギを握るのが、地元客の取り込みだ。従来、星のやの宿泊客は首都圏からの来訪が多く、長野県民は全体の数%程度とわずかだった。ただし、コロナ禍で県外への旅行ははばかられる状況だ。
そこで、近場のリゾートとして地元へのアピールを開始。2月には開業以来初めてとなる長野県民限定の割引プランを始めた。さらに、リンゴの発泡酒「シードル」を使ったしゃぶしゃぶなど、住民でも知らない地元食材の食べ方を提案し、文字通り足元から新規開拓を進める。
40~50代が中心の客層も広げる。この冬、若者層を狙って宿に隣接するスケートリンク場では1組2名貸し切りの「星空特等席」を用意し、星を見ながら温かい料理や酒を楽しむイベントを用意した。氷と照明でSNS映えも狙った取り組みだ。金子氏は「今後も季節ごとのコンテンツを開発し、さまざまな体験をアピールしていく」と語る。
星のやに限らず、足元のリゾートホテル需要は冷え切っている。「Go To停止が発表された12月14日以降、一気に予約がキャンセルになってしまった」「春休みの予約が入らない。あるものもキャンセルになるかもしれない」――。関係者は口々に、昨年末から続く苦境を訴える。
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