前代未聞の観光不況を招いたコロナ禍。有力ホテルチェーンの藤田観光が直面した経営危機の舞台裏に迫った。
長引くコロナ禍で窮地に立たされたホテル業界。名門企業も例外ではない。
「ホテル椿山荘東京」などを運営する藤田観光は深刻な不振に陥った。「ワシントンホテル」「ホテルグレイスリー」などのビジネスホテル、宴会場と高級ホテルを擁する椿山荘、そして箱根でのリゾート事業を擁する事業ポートフォリオは総崩れ。2020年12月期は224億円の最終赤字を計上し、債務超過寸前に追い込まれた。
ただし、3月には苦渋の決断で老舗宴会場「太閤園」(大阪市)を売却し、332億円の売却益を計上。9月には日本政策投資銀行の飲食・宿泊支援ファンドから150億円を調達した。これで当面の資金繰りと資本増強策にメドをつけた格好だ。
一息つく暇もなく、現在は各事業の立て直しを急ぎ、成長投資にも舵を切る。正念場を切り抜けた藤田観光はどう変わるのか。
椿山荘で安さを売りにしてしまった
「売り手として、商品に自信を持って売れていなかった――」。企画本部の原田真憲副本部長は、椿山荘の結婚式事業についてこう打ち明ける。
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