HIS「来期黒字」の現実味 入居から1年で本社売却

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財務制限条項への対策と同時に、成長軌道への復帰を目指す。

澤田会長は「海外旅行の回復は2022年春ごろを想定。今年の末ぐらいから戻ってくるだろう。その後、訪日客が戻る見通し」とする

西新宿から本社を移転してわずか1年──。旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は6月30日、本社社屋を売却すると発表した。

2020年3月に竣工した「神谷町トラストタワー」(東京・港区)の4〜5階部分にフリーアドレスの導入などを掲げて入居しており、約2320坪すべてを売却する。売却後もそのまま賃借するセール&リースバックで、借り入れや増資に頼らず手元資金を確保する。

売却額は簿価と同額の325億円。三井住友フィナンシャルグループのグループ企業に売却する。7月中をメドに契約を締結する予定で、リース額は現在交渉中だ。

上場来初の最終赤字転落と財務の悪化を受けた昨年12月、澤田秀雄会長はホテルなど投資計画の大幅縮小を公表。不動産や有価証券の売却のほか、テーマパークのハウステンボスについても「売却すると700億~800億円になる」と言及した。また、前CFO(最高財務責任者)の中谷茂取締役(今年1月に退任)は「本社も資産なので(売却を)考えていく」と語っていた。

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