星野やプリンスも注目の「ワーケーション需要」 「ゴンドラ」をテレワーク用個室として貸し出し

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オンデマンド交通「くろふね号」は、下田が対象エリアに含まれるデジタルフリーパスを購入すると、パスの有効期間中、何度でも乗ることができる(筆者撮影)

このオンデマンド交通について、実証実験の責任者である東急交通インフラ事業部課長の森田創氏は、「下田に観光やワーケーションに訪れる若年層や女性の多くはマイカーを持っていない。しかし、観光施設が集積する下田中心街は、道が狭くて路線バスが入れないなど、これまで、観光を便利に楽しめるとはいえない状態だった。宿泊先をチェックアウトしてから踊り子号の発車時間までの数時間の空き時間を有効に活用したいというようなニーズは大きいはずであり、オンデマンド交通で足回りを改善し、効率よく観光スポットをまわれるようにすれば、地元経済の活性化にもつながるはずだ」と話す。

下田のワーケーションスペース「LivingAnywhere Commons伊豆下田」。月額2万5000円の会員費で、全国11拠点に何度でも宿泊可能(筆者撮影)

また、下田市内に昨年オープンしたワーケーションスペース「LivingAnywhere Commons伊豆下田」のコミュニティマネージャーの國部華奈氏は、「当施設は駐車場がないので、利用者には基本的に公共交通機関で来ていただくようお願いしているが、車がないのに、どうやって観光するのかという利用者の声が以前からあった。また、イベントなどで多人数で出かける場合、これまではスタッフが自家用車を出すケースもあったので、オンデマンド交通はとても便利だ。実証実験終了後も、ぜひ継続してほしい」と言う。

今回の実証実験では、オンデマンド交通の運行時間を10時から16時50分としているが、地元の住民からは、「夜も運転してもらえればお酒を飲んだ帰りに使うことができ便利」といった声も聞かれる。運用の仕方次第では、今後、こうした交通手段が、高齢化が進む地方の住民の足としても定着するかもしれず、その意味での期待も大きい。

法人向けプランを提供するプリンスホテル

ワーケーションを行うに当たって、最もハードルが高いのは、そもそも会社が許してくれるのかという③の問題かもしれない。ワーケーションは、フリーランスや比較的自由な勤務が許されるスタートアップ系の企業では取り入れやすいが、一般的な企業が制度として導入するには、まだまだ課題が多いというのが現実だろう。具体的には、費用面、社員の安全確保、コミュニケーションや進捗管理をどう図るかといったことを解決しなければならない。

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