ミス・ユニバース「ハーフ女性」が台頭する理由 多文化な背景を持つ日本人の勢いが増している
私はショックを顔に出さないようにするのに苦労した。アメリカで育った人であれば、逆人種差別、または同様の意味の表現を耳にする機会は多くある。特に、「(公平であるべき)スポーツ競技においてさえ」、努力が不当に妨げられた、あるいは悪影響を受けたと感じている白人から多くそうした不満は聞かれる。
日本という国は、長い間人種差別の問題を、あたかも存在しないかのごとく放置してきた国であり、解決しようとしてこなかった。なので、今回の件について彼女が疑問を持つことも私にはよく理解ができた。
そこで彼女に「聞いて欲しいことがある」と切り出した。「君の意見を尊重するし、確かにそういう筋書きがあった可能性も否定はできない。でも、私はほかの可能性のほうに賭けてみたい。それは私が『Big Mo!』あるいは、勢いの理論と呼んでいるものだ」。
そこで、「Big Mo」がどのように機能するかを説明した。勢いは魔法のようなもので、どこに向かっているのかわからないままに、見えない力が働いて、ある方向に物事を動かしていく力だ。
審査に「影響」したこと
ここで、ガーナ人の父と日本人の母を持つハーフ、杤木愛シャ暖望(とちぎ・あいしゃ・はるみ)を今年のミス・ユニバース・ジャパンに選出した審査員たち(2003年ミス・ユニバース・ジャパンの勝者、宮崎京、2011年の神山まりあ、2018年の加藤遊海、NHKワールドの医療情報番組「メディカル・フォロンティアズ」のプレゼンターのエリカ・アンギャル、そして防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官の松川るい)が置かれていた状況を見てみよう。
最終決定は一般市民やメディアから隔離された人々が何の基準を持たずに行ったわけでも、ロボットによって半自動的に行われたわけでもない。結果は当日大きく報道されることを知っている、あらゆる要素に影響を受け得る人間によって行われている。
そこで、ミス・ユニバース・ジャパンの最終審査の夜に至るまでの期間に、審査員の判断に影響を与えた可能性が高い要因を考えてみる。少しでも審査員の決定に影響を与えたかもしれない出来事である。
第1に、宮本エリアナと吉川プリアンカの2人がすでに日本の美の代表として選出されている前例があるため、今回参加しているハーフの女性たちも、当然選出対象の本命であった。
審査員のうち3人が元ミス・ユニバース日本代表だということもあり、過去にどういう人が優勝候補になっていたか、という認識は審査員間で共有されていただろう。そしてこの認識はすべての出場者間でも共有されていたに違いない。これは、今回の大会の置かれたこれまでにない状況によるところも多い。これが次のポイントにつながる。
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