料理をやめた途端「認知症リスク」が急増する訳 「惣菜をパックのまま食卓に出す人」は要注意
司令部の前頭葉は、脳内の情報を出し入れする役割も担っているため、その働きの低下により、脳内の情報が段取りよく引き出せていないことで、「人の名前をなかなか思い出せない」といった症状が出ている可能性があるからです。
だとすれば、認知症グレーゾーンの初期に「めんどうくさい」という行動の変化が見られた段階ですぐに対策を打てれば、海馬の萎縮を事前に防ぎ、元に戻る可能性が高まるとも推測されます。
年を取ると「怒りっぽく」なる理由
前頭葉は、感情をコントロールする役割も担っています。そのため、前頭葉の機能が低下すると、感情面にも大きな変化が表れてきます。イライラして怒りっぽくなるのは、その代表です。
もともと加齢に伴い、前頭葉の機能はある程度低下します。ですから、年を取ると誰でも怒りを自制しにくくなります。堪え性がなくなるのですね。
新聞やネットで、高齢者がキレて事件を起こした記事を目にする機会がしばしばありますが、実は認知症でない高齢者やグレーゾーンの高齢者のほうが、認知症の人よりもキレやすいことがわかっています。
とくに定年後の男性の場合、将来への不安や、社会の第一線から離れてしまった劣等感などの裏返しとして、自分に対する周囲のリスペクト(尊重)が足りないと感じ、怒りが爆発する大きな引き金となります。
仕事を辞めると、過去の肩書や業績はリセットされ、十把一からげに「ただのおじさん」扱いされる場合があります。本人としては、特別ちやほやされたいわけではなくても、年を取っているからといって“ぞんざい”な扱いをされると、自尊心を傷つけられて過敏に反応してしまうわけです。
現役で仕事をバリバリしていた頃は、心の中で怒りを覚えても、口に出すのはぐっと我慢し、皮肉の一つを言うくらいでとどめておけた人でも、加齢による脳の衰えで自制が利かなくなっていますから、怒りを覚えると我慢できずにすぐ暴言を吐いたり、大声で怒鳴ったりしやすくなりがちなのです。
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