アップルが見せた「打倒アンドロイド」の秘策 iOS8の最大の特徴は”オープン化”

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無論、アンドロイド端末市場には多くのメーカーがひしめいており、メーカーごとのシェアではサムスン電子に次ぐ2位を堅持することは間違いない。高付加価値端末に限れば、ナンバーワンの地位も揺るがないだろう。しかし、拡がる市場の裾野を取りこぼし続ければ、いずれ足下が危うくなることは目に見えている。

では、iOS8を携えたアップルは、どのようにして、アンドロイドユーザーの引きはがしを図るのだろうか。

磨き上げたユーザーインターフェイス

アップルは今回のiOS8について、大きく分けると3つの方向で話をした。ひとつはiOSを改良することで、iPhoneをより良いiPhoneとすること。iOS7で大幅に変えたユーザーインターフェイスデザインを磨き込み、機能的に充実させようとしている。それぞれについて見るに、個々の機能は魅力的だ。

たとえば写真加工は、これまで単体製品として提供してきたアプリiPhotoの一部を切り取ったかのような優れたユーザーインターフェイスで簡単に行えるようになる。また、メッセージ交換機能のiMessageは文字や写真に加え、音声や動画を録音・録画して返信したり、地図アプリ上の場所を埋め込むことができる。電子秘書機能のSiriはより賢く情報を取捨選択し、検索機能はその幅を拡げて情報へのアクセスを容易にする。

これら機能が本当に使いやすいものに仕上がるかは、今後、徐々に明らかになっていくだろう。しかし、どの新機能、改良点もアップルオリジナルのアイディアではなく、世の中で評価された機能の集大成に見える。

スマートフォン時代のアジテータとして世界の風景を一変させたアップルだが、今やアンシャンレジュームのごとく、現在の立ち位置を強化している印象もある。もっとも、これはアップルの責任ではなく、スマートフォンという商品ジャンルの成熟度の高さを象徴している現象なのかもしれない。

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