『アナと雪の女王』はなぜ面白いのか ディズニーアニメを率いるジョン・ラセターの力
3月14日に国内公開されたディズニーの長編アニメーション映画『アナと雪の女王』の快進撃が続いている。世界中で大ヒットしたこの映画の全世界の興行収入は4月27日時点で11.4億ドルを突破。ディズニーの長編アニメとしては、これまでのトップである『ライオンキング』(1994年公開)の9.8億ドルという記録を20年ぶりに更新した。
『白雪姫』や『美女と野獣』のような伝統的なプリンセスものでありながら現代的なストーリー、劇中歌「Let It Go」の魅力――。大ヒットの理由をあげればキリがない。が、経営論として考えると、「ディズニーのアニメ部門を率いるジョン・ラセターの類い希なる経営手腕」をあげることができるだろう。
ラセターはCG(3D-CG)アニメのヒット作を連発する「ピクサー・アニメーション・スタジオ」のクリエーター。世界初の長編CGアニメ映画『トイ・ストーリー』を監督し、ピクサーを世界的なCGアニメスタジオに押し上げた。監督業だけでなく、プロデューサーとして『モンスターズ・インク』や『ファインディング・ニモ』など一連のピクサー・アニメをヒットに導いている。
手描きにこだわっていたディズニー
2000年以降は、ピクサーに加えて、スティーブン・スピルバーグら有名クリエーターが設立した「ドリームワークス・アニメーション」が『シュレック』などのヒット作品を連発し、アニメ映画の主役は手描きからCGにとって代わった。
ディズニーは従来の手描き(2D)アニメにこだわっていた。だが、1994年の『ライオンキング』を頂点に興行成績が伸び悩みはじめた。そこでCGへの進出を決断し、2005年に『チキン・リトル』を製作した。
ただ、ディズニーの経営陣は、新時代の技術であるCGアニメをこのまま自社で育成するよりも、他社を買収するほうが手っ取り早いと判断したようだ。2006年にピクサーの買収に踏み切った。
当時、ピクサー株の50.6%を所有していたのは、アップル・コンピュータのCEO、スティーブ・ジョブズ。ディズニーによるピクサー買収は株式交換によって行われ、買収後はジョブズがディズニーの筆頭株主になったことから、当時の報道は「メディアとネットの融合が進む」と喧伝した論調も見られた。
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