iPhone"特需"の波に乗るファナック 連続減益から脱し2015年3月期は最高益を更新へ

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昨年9月、ドイツで行われた工作機械の展示会でファナックがならべていた小型工作機械の「ロボドリル」

2012年3月期の最高益達成を境に2期連続の減収減益に沈んでいたファナックが再び勢いを取り戻している。

同社は工作機械の頭脳ともいえる数値制御(NC)装置で世界トップシェアを誇り、産業用ロボットや小型工作機械も手がける。4月25日の決算発表とともに公表した15年3月期の業績予想では、売上高が前期比約18%増の5318億円、営業利益は約24%増の2042億円と増収増益に転じる見通しだ。さらに純利益は1465億円と最高益の更新を予想している。

だが、この見通しを上期と下期に分けると大きな違いがあることに気づく。下期は前年同期比で減収減益と予想しているのだ。それでも通期で業績が上向くのは、上期に大幅な増収増益を見込んでいるため。では、「上期は好調、下期は減速」と想定している理由は何なのか。

業界全体の受注も急増

ファナックは決算短信の中で、今期の見通しについて、「一部のIT産業の短期的な需要増等を背景に期前半(14年4~9月)は好調に推移することが予想される」と説明している。すでにその兆候が現れており、同社の14年1~3月期の単体ベースの受注金額は1137億円と、600~800億円台が続いていた昨年の水準を大きく上回っている。

業界団体である日本工作機械工業会の統計でも同じトレンドが見て取れる。アジアでの「電気・精密」向け受注は、月平均40億円弱だった昨年に比べて、今年2月は119億円、そして3月には266億円にまでハネ上がっているからだ。これらは、「大半がスマートフォン、タブレット関連の案件が占める」(工作機械工業会の花木義麿会長)という。

ファナックは「決算資料以上のことは開示していない」(広報部)とするが、好調の要因として挙げた「一部のIT産業の短期的な需要増」とは、スマホ特需のはず。さらに言えば、その中心は今年秋の投入がうわさされるアップルの次期アイフォーンの”大波”だろう。

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