早期退職を機に「没落する人・幸せ掴む人」の差 失敗リスク減らす「10のチェック事項」も紹介
焦った勝俣さんは、さらにA社時代の他の取引先や学生時代の知り合いなど幅広くアプローチしました。すると今年1月に勝俣さんは、営業担当から営業支援部門への配置転換を命じられました。古巣のA社からB社に、「勝俣氏は当社の顧客情報を無断で使用している。場合によっては法的措置を取る」という警告文書が届いたとのことです。
そうこうしているうちに、今年に入ってB社は、コロナの影響での経営が悪化し、勝俣さんが所属する事業部門を大幅に縮小することになりました。
勝俣さんの年俸は、1年目は保証されていましたが、2年目は一気に4割減。人事部長からは「これでも君の成果からしたら大盤振る舞いだよ。本当はゼロにしたいんだけどね」と言われました。その後、事業部門長や人事部から「君がいたらまわりが迷惑なんだよ」「君のA社での実績があれば、十分に転職できるでしょ」などと露骨に退職勧奨を受けるようになりました。
悪いことに、昨年までは黙っていた奥さんも頼りにならない勝俣さんに愛想を尽かし、「離婚」を口にするようになりました。勝俣さんは、ノイローゼで睡眠障害に陥り、今では会社の業務に支障をきたす状態に追い込まれています。
早期退職で知人の会社に転職した54歳男性
勝俣さんのような事例を聞くと、「石にかじりついても、今の会社にとどまれ」「50歳を過ぎて新しい環境に飛び込むのは無謀だ」と言いたくなります。
しかし、多くの企業に明るい未来が約束されていた昭和の時代はともかく、伝統ある大手企業でもあっさり破綻する今日、今の会社にとどまるのが正解とは限りません。
東京のエンジニアリング会社・C社で管理部門の課長をしていた久富守さん(仮名・54歳)は、3年前に早期退職の募集に応じました。
C社の業績が悪化し、早期退職の募集を発表したとき、久富さんは応募するつもりはまったくありませんでした。C社一筋30年近く勤めてきて、深い愛着があったからです。ところが、地元の静岡県で電子部品メーカーD社を経営している高校時代の級友・小笠原正一さん(仮名)と会って、考えが変わりました。
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