『ガラスの巨塔』を書いた作家、今井彰氏(元NHKエグゼクティブ・プロデューサー)に聞く--現場の実情に弱い人は、現場人を過小評価する

『ガラスの巨塔』を書いた作家、今井彰氏(元NHKエグゼクティブ・プロデューサー)に聞く--現場の実情に弱い人は、現場人を過小評価する

語り継がれるNHK人気番組「プロジェクトX」の元プロデューサーの書き下ろし小説が話題を呼んでいる。公共放送局を舞台にして、人々の情熱と悪意が交差する「実録」と思える内容だが、著者自身はあくまで小説だという。

--ストーリーがリアルです。実録ですか。

基本的には自分の人生で起きたことを投影したり、思いを仮託させたり、そうしたことはした。それを踏まえて小説世界として読んでいただければなと思っている。ノンフィクションだったら、また違う書き方があった。

--テレビ番組制作を手がける主人公が格好よすぎませんか。

主人公の西悟は現場至上主義のものづくり系の人。ものをつくることにこだわりを持ち、またチームの力を信じているところがある。

彼は何も隠さない。無防備に番組のことを愛し、仕事を愛している人間。その仕事を愛するまでに夢中になっている姿は、ある人たちからみれば美しいし、ほかのある人たちからみれば忌まわしくみえる。

--忌まわしい?

現場の実情に弱い人は、現場にいる人間を過小評価しないと自分の存在が小さくなってしまうのではないかと恐れる。人間は自分の立ち位置を守るために、悪質な行動もとれば、嫉妬に満ちた行動もとる。自分の弱いところを隠すために。そういう人たちと主人公の確執が小説の中で展開されている。

生意気で大げさな言い方をするが、私自身、一時、指の先まで「テレビ屋」だと思っていたことがある。すべて番組をつくるための生活だと。見るもの、聞くもの、触れるものすべてが、演出や発想の材料であったり、会う人の目線の位置ひとつでも自分のフレームとして取り込んだり。

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