パナソニック持株会社化に透ける強烈な危機感 新社長の楠見氏は冷徹と優しさを両立できるか

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2019年3月に売上高10兆円の目標を達成できなかっただけでなく、ネット上で「親中企業」と呼ばれるほど傾注している中国市場の失速により、2021年3月期の連結売上高営業利益率5%も未達で2%になる見通し。売上高見込みは6兆5000億円と30年前と変わらない。津賀社長は「利益重視に転換する」というが、任期中には達成不可能であり花道を飾っての社長退任とはならなかった。

このビジョンは2021年4月に津賀氏の後任CEO(最高経営責任者)、2022年4月に発足する持ち株会社「パナソニックホールディングス」社長に昇格する楠見雄規常務執行役員(オートモーティブセグメント担当) オートモーティブ社社長に承継されることになる。

持ち株会社パナソニックホールディングス設立の発表に先駆けて、ソニーは2021年4月1日付で「ソニーグループ株式会社」に社名変更しグループ本社機能に特化する、と発表した。現在グループ本社機能とエレクトロニクス事業の本社間接機能を有している「ソニー株式会社」からエレクトロニクス事業を分離する。

カンパニー制を廃止して事業再編へ

パナソニックは2021年10月、楠見新社長兼CEO体制をもとに現在のカンパニー制を廃止し事業再編を実施。パナソニックホールディングスが発足する2022年4月からは、(1)中国・北東アジア事業、ホームアプライアンス事業、空調・空質事業、食品流通事業、電気設備事業、(2)オートモーティブ事業、(3)スマートライフネットワーク(AVC)事業、(4)ハウジング事業、(5)現場プロセス事業、(6)デバイス事業、(7)エナジー事業と分社化し完全子会社とする。

「パナソニック」の社名は、上記(1)の事業会社が使用する。さらに、プロフェッショナルビジネスサポート部門などの「間接部門」も分社化する。

このうち、(1)(5)(6)(7)の4つを「基幹事業」とした。一方、近年注力してきた車載電池以外の自動車部品や住宅建材、テレビなどの黒物家電は基幹事業から外れた。まさに、創発的戦略を具現化した組織再編である。

事業内容は異なるが、組織再編という視点で比較すると、ソニーのそれとそっくりに見える。かつて、「模倣の戦略」を駆使してきたパナソニックは、旧社名の松下電器産業にひっかけて「マネシタ電器」と言われたがコーポレートガバナンス(企業統治)までソニーを「マネシタ」したのだろうか。

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