日本酒「季節でこんなに変わる」美味しい飲み方 ビジネスパーソンの教養としての日本酒知識

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「春」 出会いと別れの季節

歓送迎会にはお酒は欠かせませんよね。昔からなんらかの契りを交わすときに御神酒はつきものでした。初対面の人同士が打ち解けるときに一献かわせば、緊張もほぐれ、心通わすことができます。

また、祈願する際にも、古来お酒を献上してきました。転勤や卒業していく仲間の成功と安全を祈ってお酒を酌み交わす。酒宴にはそういった意味合いもあるのです。

春の酒宴といえばなんといってもお花見でしょう。天下の大宴会とうたわれる「醍醐の花見」(慶長3年)は、豊臣秀吉の近親者や諸大名など約1300人が集結した、京のお花見の大イベントです。このとき、なんと今で換算すれば39億円もの経費がかかったといわれます。

花見をしながら飲む「花見酒」には、桜の花びらが舞い散っているように見える「うす濁り」(にごり酒のにごりが薄いもの)や「おりがらみ」(うっすらと濁っている酒)、また、 かすみで見え隠れする春のおぼろ月を愛でながらの「かすみ酒」などがいいでしょう。

最近、歓送迎会を省略する風潮もありますが、こうしたルーツを伝えるなどして、お酒によってつながれる縁も大事にしたいものです。

新しい楽しみ方で商談・会食も盛り上がる

「夏」 暑気払いにも日本酒を

蒸し暑い日本の夏には、ビールやサワーなど冷たくてシュワっとした飲み物が好まれ、日本酒は敬遠されがちですが、新酒を生のまま保存し、瓶詰のときに一度火入れした「生貯蔵酒」などは夏の酒宴にぴったりです。

最近はスパークリング日本酒が充実しています。できたての微炭酸のにごり酒、発酵途中のお酒を瓶詰にして瓶内でも発酵を続けたものなどのことです。開封する際は、しっかり冷やしてゆっくり丁寧に開けましょう。そうでないと泡があふれてしまうからです。

『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』(あさ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトへジャンプします

また、あまり知られていませんが、日本酒そのものを凍らせた「みぞれ酒」「氷酒」は夏においしいお酒です。日本酒はアルコールがあるためにカチカチには凍らず、しゃりっとしたシャーベット状になります。これをスプーンでいただくのです。これぞ大人のかき氷。最初に一口、もしくは締めの一口として提供すれば、お客様へのインパクト大です。夏の宴席は、日本酒の新たな楽しさを知っていただく機会として活用してください。

季節や旬の食材、料理に合わせて日本酒をセレクトできる、またイベント、行事などに合わせた日本酒の楽しみ方を提案・演出できることは、とても素敵です。教養があるからこそ、できることでもあります。世界中で日本酒がトレンドとなっている今だからこそ、自分の国のお酒である日本酒の魅力や知識を身につけておくとよさそうです。

友田 晶子 一般社団法人日本のsakeとwineを愛する女性の会代表理事

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ともだ あきこ / Akiko Tomoda

米どころ酒どころ福井県生まれ。延べ12万人のきき酒師やワインソムリエを輩出し、あらゆるお酒に精通、お酒でおもてなしができる人材を育成。お酒を通じて女性の教育・活用社会進出支援に力を入れる一般社団法人日本のsakeとwineを愛する女性の会(通称:SAKE女・サケジョの会)の代表理事として活動。お酒でおもてなしできる会員数は1500人にも及び、業界初のお酒による総合的な“おもてなし力”を問う検定『料飲おもてなし~SAKE女検定~』を実施している。
https://omotenashi-sakejo.com/

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