「寝る直前の勉強」が記憶に効くこれだけの理由 徹夜勉強よりも寝たほうが効果的なカラクリ

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そもそも記憶にとって睡眠というのは切っても切れない関係、絶対に必要な過程なのです。なぜなら睡眠の過程を経ないと上記の徹夜のテスト勉強のように記憶が定着しないからです。

皆さんが寝ている間も実は脳のなかでは脳の司令塔「海馬」は一生懸命働いています。その間、海馬は何をしているのかといえば、昼間のうちに頭の中に入ってきた断片的な情報や記憶を整理しているのです。

どのように整理しているかというとその断片的な情報どうしを組み合わせてその整合性をチェックしているのです。そして整合性が確認された情報が長期の記憶となることができるわけです。

夢とは記憶の再生

もう少しわかりやすくたとえるならば、昼間頭の中には情報がジグソーパズルのピースのような状態でばらばらに入ってきます。海馬はそのバラバラのピースどうしを組み合わせてみて正しい絵になるかの確認をしているというわけです。

ピッタリ合うピースの組み合わせが見つかったらその完成した絵、つまりその記憶は整合性あり、と見なされ、長期の記憶として大脳で保管されることになります。それで寝る前の時間が記憶学習にとって効率がいい理由もわかります。

昼間、寝る時間よりもだいぶ前に頭に入ってきた情報、ジグソーパズルのピースは寝る時間にはもうばらばらに散らばっていてそれらを拾い集めること自体大変なわけです。ところが、寝る直前に頭に入ってきたパズルのピースは1カ所にかたまっているので海馬は苦労せず、それらの整理作業に入れるというわけです。寝ている間に見る夢、あれもこの海馬の情報整理作業によって引き起こされているといわれています。

つまり夢とは記憶の再生というわけです。皆さんもまったく現実性のない夢や風変わりで変な夢を見たことがあると思いますが、それもこれも海馬が情報の組み合わせを試しているからこそ起きる現象なのです。

いずれにせよ人は一晩のうちに膨大な夢を見るのですが、それらは海馬がキープしている情報や記憶が夢のなかで再現されているということです。そしてそれらの情報の整合性を確認して必要なものか、必要ないものかを吟味しているということです。

ここまで説明してきたことからわかるように、寝ないということは海馬の情報整理の作業が行われないということですので、その過程をとらない情報はすぐに廃棄されてしまうのです。それが徹夜勉強の内容がすぐに消えてしまう理由です。

当然、勉強の目的は長期にわたって学習内容を記憶することにあるわけですから、そのためにも睡眠時間を削って勉強することなどは愚の骨頂といえるのです。せっかくがんばって勉強するならばできる限り睡眠時間を確保するほうが結局は得だということです。

ちなみに最新の研究では新しく知識を身につけたいときには、その日に6時間以上眠ることが必要であることがわかっています。海馬にまかせてしっかり寝るに限るというわけです。

さらにもう1つ睡眠が記憶にとって重要な理由があります。

次ページより理解が深まる「レミニセンス現象」
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