「寝る直前の勉強」が記憶に効くこれだけの理由 徹夜勉強よりも寝たほうが効果的なカラクリ
勉強してもまったく理解できなかったことがあるとき突然ぱっと閃いてわかるようになるとか、楽器やスポーツで何度も練習すれどもうまくいかなかったテクニックがある瞬間いきなりできるようになるなど、あるとき突然今まで蓄積していた情報や記憶が高度化する現象があります。このように、学習した内容が時間が経つことで、より理解が深まるという現象のことをレミニセンス現象といいます。
このレミニセンス現象にも睡眠が関わっています。これも寝ている間に情報が整理整頓されているからこそ引き起こされるのです。勉強したものが充分な効果を発揮するためにはある程度の時間が必要であるというわけで、直前に頭に入れた知識よりも、入れてから数日おいた知識のほうが脳のなかで整理整頓がなされ利用しやすい記憶になっているという仕組みです。
私は学習のやり方に関して「分散学習」をおすすめしています。新しく英語の単語を覚えるときに1日で4時間一気に覚えるか、1日1時間ずつ4日かけて覚えるか。かけた時間は同じでも4日に分けたほうが長期の記憶になると考えているのですが、その理由も実はこのレミニセンス現象なのです。ここからも勉強はコツコツ進めることが大事なことがわかります。
いい睡眠をとるために
それではその睡眠は長くとればとるほどいいのかというとそうでもなく、それよりも重要なのは睡眠の質です。質のいい睡眠をとるための目安はとにかく寝始めの最初の90分の質を上げることに注力することなのです。寝始めの90分の睡眠の質がよければ、残りの睡眠の質もそれに比例してよくなることがわかっています。その一番のキーポイントになるのが「体温」のコントロールです。
体温には体の表面の「皮膚体温」と体の内部の「深部体温」があります。良い眠りにつくためには深部体温が目覚めているときより下がる必要があるのです。この深部体温はまずは皮膚体温を上昇させて体の表面から放熱することによって下がりやすくなります。
そのために効果的なのが入浴、お風呂に入るということです。理想的には眠る90分前には入浴を済ましておくことです。するとそこから徐々に深部体温が下がってきてスムーズに眠りに入ることができるのです。
そしてもう1ついい睡眠のために考えなくてはいけないのが、スマートフォンなどの電子機器から発せられるブルーライトによる影響です。
睡眠にとってこのブルーライトは大敵です。ブルーライトを見ることで、体内時計のリズムが乱れてしまうからです。
目からブルーライトが入るとその情報は体内時計の重要な中枢といわれている視交叉上核(しこうさじょうかく)という場所に伝わります。
ブルーライトの刺激は、さらにメラトニンというホルモンがつくられる松果体(しょうかたい)に伝えられます。夜に浴びるとブルーライトを含む明るい光を昼と判断し、体内時計に作用して睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されて眠れなくなると考えられているのです。
今や多くの子供たちがスマートフォンを持つ時代になりました。体内時計のリズムを狂わせて、睡眠の質を下げてしまうのを防ぐためにも、スマートフォンをはじめ電子機器の寝る前の使用に関しては、子供たちとよく話し合ってルールを決めることをおすすめします。
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