注目のソーシャルレンディングとは? ネット版「新」頼母子講、見知らぬ個人同士を結ぶ金融
今年1月に締め切った都内のコーポラティブハウスのオークション。入居者が建設組合を作って共同で住居を購入・建築する仕組みだが、9世帯16人から成る組合が、1口30万円以上、総額1億3000万円の資金を募集したオークションに対し、5000万円強しか応札がなく、結果は不調に終わった。
「当社の信用力に対して、資金の規模が大きすぎた。いちげんのお客としては30万円預けるにはまだ不安もあったのだろう」と妹尾社長は振り返る。
500人以上の投資家から資金を集める場合は公募扱いとなり、手続きが煩雑になる。大きな金額を私募形式で集めるには1口当たりの出資上限を引き上げる必要があるが、それには100万円、200万円という単位でコンスタントに集められる知名度や投資家の広がりが必要だ。
ソーシャルレンディングの現状を見るかぎり、まだそこまでの蓄積はなく、現状は個人向けの小口金融に向いた仕組みといえそうだ。
課題も残る。まずは貸し倒れをいかに抑えるかだ。maneoの60日以上の延滞率は6・6%(3月8日現在)。同社の場合、オークション前の独自審査で、税込み年収が300万円以下など延滞懸念のある借り手を振るい落とし、延滞抑止を図っている。
「今年1月の申し込みや問い合わせは100件以上あったが、オークションにかけられたのは4~5件」(妹尾社長)という。慎重に審査して承認率を下げれば延滞率は低く抑えられるが、逆に商売は細るわけでそのバランスが難しい。
旧来の庶民金融に代わる 現代流のバーチャルな絆
6月には改正貸金業法の完全施行が予定されている。既存の消費者金融から借りられなくなった低所得者層がヤミ金融に流れることが懸念され、妹尾社長は「このままでは本当にまずいことになる」と憂うが、前述した年収要件でわかるように、このビジネスはグラミン銀行のような貧困者向けのマイクロファイナンスとは似て非なるもの。施行後の受け皿になることは考えにくい。
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