注目のソーシャルレンディングとは? ネット版「新」頼母子講、見知らぬ個人同士を結ぶ金融
貸し手と借り手のつながりを強調する類似の庶民金融は、これまでにも存在した。たとえば、キリスト教宣教師らが終戦後の不況に苦しむ多重債務者救済を目的に、信者らを対象に始めた日本共助組合は50年の歴史を持つ。無尽や頼母子講などもよく知られている。
共助組合は、教会や職場など何らかの連帯関係にある人々が協同で資金をプールし、2%程度の金利で融資する。ここには、日常的に顔を合わせ、互いの信頼感が醸成された「共通の絆」(コモンボンド)がある。顔見知りであることが結局貸し倒れ抑止にもつながっている。
もっとも、1982年のピーク時には全国62組合、9000人近くいた会員は、現在はその3分の2。「低金利は魅力のはずだが、今の若者にはカード1枚で借りられる便利さのほうがアピールするようだ」と光吉将郎事務局長はつぶやく。
借り手と貸し手の間に信仰という絆と、現実のつながりがある共助組合に対し、ネット上でアカの他人同士をバーチャルにつなぐソーシャルレンディング。借り手の信用力よりも、アピールの巧拙がオークションの可否を左右する傾向も否定できない。この新しいシステムが日本でしっかりと根を張れるかどうか、時間をかけて見守りたい。
(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年3月20日号)
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