社長が2年半出社しない会社が急成長する理由 「ライフシフト」「両利きの経営」に学ぶ人生戦略
僕はマレーシアにいても、毎日、全従業員の日報をチェックしています。必要があれば質問もするし、コメントも返します。だから彼らもちゃんと書き込んでくれます。そうやって密にコミュニケーションしているので、一人ひとりの心理状態もよく把握できています。
会社にいても、社長室にこもっているだけの人より、僕のほうがずっと従業員との接点が多いと思っていますし、また、僕がいないことによって、幹部の成長レベルが確実に上がってもいます。
僕が本社に出社しなくなってもう2年半以上が経ちました。社長室も取り壊してしまいました。今年3月以降は帰国もしてませんが、先月は前年比400%とコロナ下になって業績はさらに急速に伸びているので、ますます、僕がいないほうがいいのか?という話になっていますが(笑)。
もともと僕は、マレーシアの現地法人を、アジアパシフィックの拠点として大きくして、海外の優秀なAI人材を日本に連れてくるというモデルを描いていました。これはコロナによってピボットする状況にはなっています。しかし、現在は、インターネットを使って世界の著名な専門家に呼びかけ、アジアをベースとする企業人事やIT高度人材向けの1000人規模のオンラインイベントを開催するなど、もともと想像していなかったビジネスモデルに転換しています。
やはり、口先だけではなく、テクノロジーの力を心から信じて行動し、チャレンジすることが、これからの時代には重要だと思いますし、僕は現実にその恩恵を受けています。
このコロナ下、仕事と生活のスタイルは変わりましたが、テクノロジーの力によってチャレンジするコストが下がり、働き方はさらに自由になったと感じています。つまり、僕の人生は、ますます「ライフ・シフト」になった。僕にとって、ライフ・シフトとは、新しいことにチャレンジし続ける力なのです。
実践!ライフ・シフト
子どもの教育面においても、恩恵を受けることができています。学校が休校になったとき、子どもがずっと家にいるのは大変だというのが共通認識だったと思います。マレーシアは日本よりも早くからピリピリした状態でしたから、僕は早々に割り切って、学校に行けないことのストレスと不安をためるより、娘のために世界中のオンライン講師を探してみようと思い立ったのです。
9歳の娘は、インターナショナル・スクールに通っているため、日本の学校の勉強は遅れていました。でも、コロナの期間に世界各国に在住する日本人のオンライン講師の授業を受けて、日本の小学校3年生までの勉強をマスターしました。それだけでなく、漢字がうまく書けるようになり、そろばんも覚えてしまいました。これには大きな感動を覚えました。
インターネットでできるだけ学びの環境を整えると考えてチャレンジしたら、こんなすごい成果が得られた。高額な塾に通わせるというのも有力な教育の手段でしょうが、一方でテクノロジーの力を信じたやり方を試すというのもまた別の有力な手段ではないかなと、娘の成長を目の当たりにしながら考えています。
僕がこうしてお話ししていることは、『ライフ・シフト』で語られていることそのままです。無形の資産が大事になること、変化に柔軟に向き合うこと、人生には実験の要素が多くなるなど、この本は僕にとって、人生を豊かにするための基本原則をフォーマット化したものです。この本を読んで勉強したことを真面目に実践しているだけなのです。
僕らのような働く職業人は、自分の生産性を最大化するために全力を尽くすことが重要です。自分がいちばん生産性の高い働き方をするには、やはり家族が満足して、幸せに満ちあふれた生活が送れること、そして、自分自身もリフレッシュできる環境に身を置くことが大事ではないでしょうか。
日本でも大ベストセラーになったのですから、読まれた方は、ぜひご自分の人生でぜひ実践してみてほしいと思います。
(構成:泉美木蘭)
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